組織的な指導を行う上で、欠かせないのは教師の目線合わせである。同校では、個々の教師が3年間を通してぶれない進路指導を行うために「進路学習マニュアル」を作成している。
山西先生は、「これまで本校では、どちらかというと個々の教師の力量に頼る指導が目立っていました。そこでマニュアルをベースにすることで、教師のベクトルをそろえ、組織的な指導を行う必要があると考えました」と、進路学習マニュアルを運用することの狙いを説明する。
マニュアルの最大の特徴は、時期ごとの目標を明確にし、かつそれに向けた取り組みのポイントを詳細に述べている点だ。学期ごとに目標を設定するだけでなく、「高校生活のリズムに慣れる」(1年次4~5月)、「予習・授業・復習のサイクルを定着させる」(2年次4~6月)など、2~3か月ごとの到達目標が明記されている。
更に、進路LHRやスタディーサポート、先輩と語る会など、3年間の進路学習の内容と狙い、指導のポイントなどを月単位で詳細に記している。南場先生は「1学年のときは、目の前の課題をこなしていくだけで精一杯でしたが、それだけに、月単位で進路指導の目標が記してあるマニュアルはとても参考になりました」と振り返る。
加えて同校では、各模試の狙いや指導ポイントと、各進路検討会の目的や内容を明文化し、教師間で共有している。
「今後も、先生方とそれぞれの取り組みの意味をしっかりと確認しながら、生徒一人ひとりの進路実現に向けて、学校全体の指導の質を一層高めていくことが重要だと考えています」(山西先生)
受験はこれからが本番。今後は不合格者のケアも課題となる。「生徒の気持ちを前向きにさせるには、担任の声かけも必要ですが、それ以上に大切なのは生徒同士の支え合い。3年次の初めから、『お互い励まし合い、厳しい受験を乗り越えよう』と呼びかけてきました。個別の生徒のケアに力を入れると同時に、クラス全体で頑張る雰囲気をつくっていくことにも留意していきたい」と南場先生は抱負を述べる。
大学受験は、教師にとっても大きな試練。生徒と共に乗り越えていく経験こそが、担任を大きく成長させるのである。
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