進路シラバスを踏まえ、時期ごとの指導テーマについては、各学年の教師間で目線合わせを行っている。例えば、4月であれば、新入生テストで『中学時代に身につけた学力を確認し、高校での意欲的な学習につなげる』、そして個人面談では『生徒の特徴や進路意識などを把握して、文理選択に向けた早い段階の意識付けを行う』という具合だ。
「例えば、1学年の1学期であれば、学年会で『生徒への基礎・基本の徹底』をたびたび確認します。具体的な教科学習については、授業や補習で教科担当が徹底します。それと歩調を合わせ、クラス担任はSHRや面談などで折に触れて、心構えや学習姿勢などを生徒に発信し、生徒への意識付けを行うのです」(畑井先生)
進路シラバスの狙いは、指導の標準化のためだけではないと、進路指導主事の田代龍一先生は強調する。
「進路指導というと3年生に目がいきがちですが、いざ3年生になると、もっと早い時期にしておくべきことがあることに気づきます。1・2年次の担任の進路指導で最も大切なのは、進路意識の醸成です。早期に、高い目標を持たせて、挑戦させる意欲を養うことです。1・2年次での取り組みが、3年次へとつながっていることを示し、低学年次の指導の重要性を明らかにすることも進路シラバスの目的の一つです」
実際、進路シラバスは、赴任したばかりの教師にとって心強い羅針盤になっているようだ。工藤先生は「9年前に赴任して、進路シラバスを見たときは、詳細に書き込まれていることに驚きました。その年は、2年生を受け持ちましたが、3年次まで詳しく書かれているので、1年後を見通したアドバイスや声かけができたことを覚えています」と振り返る。 |