指導変革の軌跡 秋田県立能代高校「進路指導」
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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過去問を効果的に活用し受験への自信を深めさせる

 05年度には「難関大プロジェクト」を立ち上げた。2、3年生の成績上位層の中から30~40名を選抜して志望大ごとのグループに分け、補習や特別課題に取り組む。また、成績下位層の底上げを目的として、2年生の模試偏差値50以下の生徒を対象に特別補習も実施。冬休みと春休みを使って徹底的に鍛え上げた。成績上位層にも下位層にも手厚く指導することで、学年全体で切磋琢磨する雰囲気をつくり出していった。
 授業の教材には、難関大の過去問を積極的に活用した。東京大の入試問題といえども難問ばかりではない。テーマに沿った標準問題に取り組ませて解ける喜びを味わわせ、難関大に挑戦する意欲を喚起させようとしたのだ。進路指導部副部長の黒坂孝先生は次のように指摘する。
 「本校の生徒のほとんどは、入学時に高い進路希望を持っている半面、安全志向も非常に強い。センター試験の自己採点でB判定だと、志望大を変更してしまう生徒も少なくありません。たとえ合格の可能性が低くなっても、挑戦する勇気を持たせるためには、普段から自信をつけさせておくことが重要です。授業直後であれば、難関大の問題でもたいていの生徒は解けます。授業で習った知識だけで解くことができれば大きな自信になりますし、授業の大切さも実感できるのです」
 授業に沿った過去問を選ぶ過程を通して、若手教師は生徒の学力や問題の選び方、各大学の出題傾向などをつかめるようになる。生徒だけでなく、教師自身も教科指導力を向上させ、自信を高めていくのである。


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