ガイダンスの際に、生徒に与える資料や課題には一工夫を凝らす。例えば、2年次10月には、東北を代表する進学校から集めた合格体験記の中から東京大や京都大などの超難関大合格者の体験談を抜き出して資料として配付した。難関大合格者の多くは文武両道のため、目指すべき目標となる。
また、同2月には、「半年後の自分自身に宛てる手紙」として「8月の私」と題する作文を書かせた。ここで書いた作文は、3年次8月に行う三者面談の席で担任が保護者の前で読み上げる。「手紙の多くは『夢をあきらめないでください』という内容です。手紙を改めて読み、つぶれそうになっている気持ちを奮い立たせた生徒もいました」と、柏谷先生は手紙の効果を話す。
オープンキャンパスも、意欲を喚起する取り組みとして重視する。例年、2年次に学年全体で隣県の弘前大を見学し、希望者には東北大にも訪問させる。3学年主任の三浦政博先生は、「訪問前には、見るべきポイントを解説した上で、必ず何らかのイベントに参加し、直接学生に大学の様子を聞いてくるよう促しました。実際に学生と話すことによって、学問は人を介して存在するということを実感させられるのではないかと考えました」と話す。
以前は事前指導がなく、参加しても「キャンパスが汚い」などの表面的な感想にとどまっていた。しかし、事前指導を始めてからは「大学の熱意を感じた」「温かみのある大学だった」など、踏み込んだ感想を述べる生徒が多くなった。じかに大学の雰囲気に触れることの大切さを実感したのだろう。07年度は3年生も80名以上が自主的に参加した。柏谷先生は、「大学を3校見学すると、生徒の意識は変わります。1校目では大学のだいたいの様子がわかり、2校目では比べることができる。3校目でどのような大学に行きたいのか志望が固まってくるのです」と話す。
また、オープンキャンパスには保護者と一緒に参加するように呼びかけている。
「保護者は生徒とは違った視点から大学を見ます。何より、子どもと情報を共有することで、同じ気持ちで進路に向き合えるようになれるのが大きいですね。一緒に新幹線に乗ったり、ホテルに泊まったりと、コミュニケーションを深めるきっかけにもなっているようです」(三浦先生)
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