指導変革の軌跡 兵庫県立神崎高校「学校再生」
VIEW21[高校版] 新しい学校再生のパートナー
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子どもとの触れ合いが生徒の心を開いていく

 校外での体験学習も新たに導入した。「コミュニケーション(CM)授業」では、2年生(現在は1年生)の生徒全員が隔週で地域の幼稚園や保育所を訪れ、子どもと交流する。
 「先入観がなく純粋な心で接してくれる子どもとの交流を通じて、自尊感情や効力感を育むことができるのではないかと考えました」(齋藤先生)
 当初、校内にはCM授業に反対の声も多かった。子どもに怪我をさせたらどうするのか、子どもの保護者から反対の声が挙がるのではないか。しかし、そうした杞憂も訪問するたびに薄れていったという。3学年主任の寶谷亮介先生は次のように話す。
 「最初は戸惑っていた生徒も、子どもと一緒に食事や昼寝をし、『お兄ちゃん』『お姉ちゃん』と慕われるうちに、親身に世話をするようになります。生徒の中には、中学時代から周囲から期待されることが少なく、他人から頼られた経験があまりないという生徒が少なくありません。相手が小さい子どもでも、頼られることで自然と責任感が芽生え、自信がわいてくるのです」
 訪問先では、学校とは異なる面を見せる生徒も多かった。普段はほとんど笑わない生徒が、子どもを前に満面の笑みを見せた。幼稚園教諭に将来の夢を語る生徒もいた。子どもや幼稚園教諭との交流を通して、人間関係・信頼関係の大切さに気づくようになったのである。

改革進行中という姿勢を地域に積極的に伝える

 学校内部の改革と並行して、同校では対外的なPRの面でも工夫を重ねている。原潤之輔教頭は、その手法を次のように説明する。
 「普通は改革の成果が表れてから対外的なPRを始めますが、本校では新規の取り組みを企画した段階で、外部に対して積極的に情報発信をしました」
 同校は改革の成果もわからない03年度から、テレビ局に自校の改革を売り込んだ。地元のケーブルテレビでは、随時、同校の改革の模様が伝えられ、地域交流の取り組みは全国ネットでも紹介された。
 地域に対しても、積極的にイメージアップに努めた。教師が撮影し、生徒がナレーションを担当したオリジナルのプロモーションビデオを制作し、地域の全中学校に配付した。学校新聞はできるだけ多くの人に読んでもらおうと、コンビニエンスストアにも置いてもらった。
 「短期間で本校が変革を遂げられたのは、生徒指導の徹底とカリキュラムの工夫だけでなく、改革をすぐにアピールしたからだと思います。内部の改革と外部へのPRがうまく噛み合ったことで相乗効果が生まれ、スピーディーな改革が実現しました」(原教頭)
 04年度には文部科学省の「豊かな体験活動推進事業」の指定を受けて地域間交流を推進。活動の際には教師はおそろいのピンクのジャージを着て、これが神崎高校の活動であることが地域の人に一目でわかるようにした。
 「本校が本気で改革に取り組む姿を見て、地域の人々が応援してくれるようになったことが大きかったです。体育の特別講座ではゴルフ場を提供していただいたり、地域の清掃活動のあとにバーベキューをご馳走していただいたり。地域の支援が改革の大きな原動力になったのは間違いありません」(内海先生)


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