指導変革の軌跡 栃木県・私立文星芸術大学附属高校 英進科
VIEW21[高校版] 新しい学校再生のパートナー
  PAGE 10/15 前ページ  次ページ

「みんなで明るく」をモットーに教師が連携

 教師集団が一致団結してきめ細かい指導を心がけているところも、同科の強みの一つだ。英進科は、平均年齢35歳の若手教師9名と、公立高校の校長・教頭経験者のベテラン教師10名からなる。若手とベテランが「みんなで明るく」をモットーに緊密に連携することで、職員室には常に活気がある。席は若手とベテランが交互に座る。
 染野先生は「職員室で生徒のことを話すと、先生方が集まってきていろいろな情報を提供してくれます。私1人では気づかないような生徒の変化もすぐに把握でき、どう対処してよいのかわからない場合にもすぐにアドバイスをいただけます。多面的な生徒把握と迅速な対応が、生徒の信頼にも結び付いているのではないでしょうか」と話す。
 教科指導力の向上の面でも、ベテランが若手にノウハウを伝授する機会は多い。数学科の雪野賢先生は、「本校には、難関大志望者に対する指導経験のある教師が多くはいません。指導法や教材選びなど、ベテランの先生方から教えてもらうノウハウは貴重です。60歳を過ぎても、受験生と同じようにいつも数学の問題を解いている先生の姿を見るのも刺激になります」
 国語科の竹内先生も「県内有数の進学校で何年も教鞭を執っていた大ベテランの先生が、『方丈記』や『平家物語』の冒頭部分について、改めて研究し直している姿を見たときは驚きました。何十回と教えているテキストについても、新しい解釈はないか、作品の本質は何かということをさまざまな文献を引っ張って調べている。昨年までの教え方から少しでもよくしようと努力されている姿は、若手の励みになります」と話す。
 生徒・教師が共に学び、自分を高め合おうとする雰囲気が、同科の躍進を支えているのだ。
図3
 2期生の活躍で脚光を浴びた同科は好調を維持し、06年度入試では15名が国公立大に合格した(図3)。06年7月には、全国ネットのニュース番組で、『実録ドラゴン桜』と題して同科の躍進ぶりが伝えられた。定員60名となった現3年生(5期生)では、更なる躍進が期待されている。
 「生徒の変化を見ていると、学力の向上は人間力の向上と不可分であることを、私自身が改めて教えられます。単に授業時間を増やせば学力が向上するという考え方は幻想にすぎません。大切なのはいかに生徒の内面の成長を促すか。今後も進路学習をベースに、教師一丸となって、この課題に挑戦し続けます」(牧島先生)

  PAGE 10/15 前ページ 次ページ