六浦中学校は、課題を抱える生徒のいる生徒指導の難しい学校だった。2005年に間邉光夫校長が赴任した当時、授業中にもかかわらず、保健室は生徒でいっぱいになることがあった。生徒の声に耳を傾けようと、課題がある生徒と教師が膝を交えての対話を積み重ねていった。その結果、生徒と教師のそれぞれの思いが少しずつ交わるようになり、学校は次第に落ち着きを取り戻していった。
課題のある生徒だけでなく、一般の生徒に対してもきめ細かい指導体制を整えていった。教育相談は4月、9月、1月と年3回実施し、うち2回は生徒が相談する教師を自由に選べるようにしていた。生徒はあらかじめ相談事項を記入しておいた「相談カード」を、希望する教師に提出する仕組みだ。
更に、不登校の生徒や不適応と思われる生徒をよりきめ細かく支援するために、生徒指導専任教師の提案を受けて、06年4月に「特別支援チーム」を結成した。校長と副校長、生徒指導専任教師、特別支援教育コーディネーター(※1)、各学年主任、スクールカウンセラーで構成する。
「担任1人にすべてを背負わせるのではなく、学校全体で情報を共有し、問題に向き合っていくという、担任が安心して指導できる体制を目指しました」(間邉校長)
5月中旬、まず実態の把握から始めた。担任は特別な生徒指導やケアが必要な生徒がどの程度いるのかを調べ、課題を抱えている生徒について「支援シート」(図)を作成した。1年生については、校区内四つの小学校に毎年ヒアリング調査を実施しているため、生徒が入学前に通っていた小学校からの結果を記入した。
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