特別支援チームは定期的に会議を開き、中経過を踏まえて支援シートを見直す。問題が起きたときには、その生徒とかかわりのあるメンバーが集まり、担任と連携しながら対処している。また、支援シートは校長室に保管し、どの教師も閲覧できるようにしている。
保護者への対応も、担任1人に任せきりにはしない。必要に応じて同チームのメンバーが担任と一緒に保護者の話を直接聞き、学校の方針を理解してもらえるように努める。場合によっては間邉校長が自ら話す。間邉校長は、「我が子が大切と思うのは、どの保護者も同じです。しかし、まわりの人たちの大切さに目を向けない保護者が増えてきたと感じています」と指摘する。例えば、仲良しグループの中のある生徒がトラブルを起こしたときに、グループからその生徒さえいなくなればよい、と考える保護者が少なくないという。
「問題を起こした生徒が良くなれば、ほかのメンバーも含めて集団全体がもっと良くなるという視点が希薄になってきていると感じます。悪い部分を取り除くという外科的処方ではなく、教育という漢方で心を治していくという考え方を時間がかかっても保護者に伝え、理解してもらいたいと思っています」(間邉校長)
発足して1年。特別支援チームはさまざまな課題を抱える生徒を支援してきた。そこから見えてきた課題の一つはメンバー構成だ。
「できれば外部のアドバイザーとして医師に加わってほしい。拒食症など医療面での判断が迫られる課題を持つ生徒が出てきており、教師だけでは対応が難しいケースがあります。年2回だけでも来てもらいたいのですが、実現はなかなか難しい」(間邉校長)
保護者をどのように巻き込んでいくのかも、今後の鍵になると、間邉校長は考える。
「特別支援チームの発展形として、地域の方や保護者も加わった組織をつくることが理想でしょう。外部に対して開かれた組織にしていくことが、これからの学校の在り方として大切だと考えています」(間邉校長)
もう一つの課題は、教師の異動などがあっても変わらずに対応できる体制の確立だ。
「本校の取り組みには特別な予算はついていません。しかし、特定の教師の力だけに依存しない、教職員全員がかかわる仕組みづくりを進めるため、今の体制をもっと強固なものにしていきたいと考えます」(間邉校長)
担任の生徒指導を学校全体で支援している六浦中学校。この取り組みは今後も進化を続けていくだろう。
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