特集 生徒の未来、教師の役割
みみづか・ひろあき

みみづか・ひろあき

1953年長野県生まれ。専攻は教育社会学。東京大教育学部卒業。同大学院教育学研究科博士課程中退。中教審初等中等教育分科会 教育課程部会専門委員を務める。主な著書に『変わる若者と職業世界 トランジッションの社会学』(共編著/学文社)など。

*プロフィールは取材時(08年3月)のものです

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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【インタビュー】

「脱受験競争時代」に高校に求められる役割とは

お茶の水女子大大学院教授 耳塚寛明  Mimizuka Hiroaki

高校を取り巻く環境は、この十数年間で大きく変わった。
今後、高校教育はどのような方向に進むのだろうか。そして、学校や教師に求められているものは何か。
中央教育審議会初等中等教育分科会専門委員を務める耳塚寛明教授にお話をうかがった。

環境変化に応じた高校教育の再編が必要

 高校を取り巻く環境はここ十数年で大きく変わりました。1990年代中ごろ以降、高卒者の労働市場は急速に縮小する一方、大学や専門学校への進学者は増大しています。しかし、高校の教育課程や学科・コース構成は、進路の多様化に十分対応しているとはいえません。
 90年代以降の高校改革の中で、中高一貫校や総合学科、全日制の単位制など、多様な学校やコースが生まれました(図1)。しかし、十数年が経過した今、定員に満たない、進路と学校での学習内容が一致しないなどの問題が顕在化しています。成果と課題が明らかになった今こそ、改革を総括して残すべきものは残し、廃すべきものは廃止するという判断が求められているのです。

図1

 格差の状況も深刻です。ある地方新聞社の調査によると、某県では、高校間で授業料減免率に10倍以上の差があることが明らかになりました。経済的に豊かな家庭ほど、より上位の学校に進学している傾向が強いことを示しており、家庭の経済格差と教育格差が結び付きを強めている現状がうかがえます。


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