教育課程の再編など外発的な動機付けを工夫することは大切ですが、それ以上に重要なのは、何といっても個々の教師の授業改善に向けた不断の努力です。生徒の学びにとって最も必要なことは、子ども自身が学びたいと思うような内発的な動機です。学習することの楽しさを、教師がいかに生徒に伝えられるかということが重要です。
単に知識や技能自体を覚えさせるだけではなく、小・中学校で重視されているように、実験や調べ学習などを通して知識を活用させながら習得させるのも一つの方法です。また、授業を通して、公式や理論が実際の生活とどのようなつながりを持っているのか、どのように社会で活用されているのかということを実感させることも有効です。
こうした生徒の意欲を喚起させるための指導上の工夫に加えて、担当教科に対する教師自身の熱意も重要です。かつての教師は、「自分の教えている内容は次世代に伝えていかなければならない」という使命感を持っていたように思います。教科に対する自尊心や忠誠心と言い換えてもよいでしょう。教師自身が誇りを持って授業に臨むことで、生徒にもその教科の価値や面白さが伝わっていったのです。
大学受験という外発的な動機が希薄になった今こそ、教師の資質が問われているといえるでしょう。 |