特集 生徒の未来、教師の役割
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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教育の質を保証する「高大接続テスト」

 高校教育の質を高めることは、個々の教師や学校の努力だけでは限界があります。公教育の質をどのように保証していくのかというマクロな仕組みも必要です。これまで事実上、日本の高校の質保証のメカニズムとして機能してきたのは、「大学入試」と「学習指導要領」の二つでした。しかし、大学入試は一部の難関大を除いて、もはや質保証の仕組みとしてはうまく機能していません。学習指導要領に至っては、大学入試の方がよほど高校に対する影響力が大きいことが、06年に発覚した必修科目の履修漏れ問題から見えてきました。どのように高校教育の質を保証するのかというのは、教育政策上の喫緊の課題なのです。
 小・中学校については、全国学力・学習状況調査が導入され、結果的に質保証の仕組みとして機能し始めています。大学では、OECDが国際的な質保証テストについての構想を持っています。しかし、高校には、そうした質保証の仕組みがありません(図5)。国際的に見ると、国家試験のような形で卒業資格を与える国が多い中、日本は学校長が履修単位を認定して、卒業を認定する仕組みになっています。教育の質を保証する仕組みがないまま、子どもの学力低下が進めば、高校教育の水準が低下する恐れもあります。

図5

 そこで近年、高校教育の質を保証する新しい仕組みづくりを模索する動きが出始めました。08年1月、中教審の大学分科会のワーキンググループは高大接続に関する議論のまとめを公表し、その中で「高大接続テスト」(仮称)の新設を提案しました。
 具体的な内容は白紙に近い状況ですが、個々の生徒の卒業資格を認定するものではなく、基礎科目について高校で学んだといえるだけのレベルに達しているかどうかを測り、結果を合否もしくは段階評価で示すテストになると思われます。私の予想ですが、テストのレベルは基礎的な事項が中心で、進学校であれば1年次に受験させても対応できる水準になるのではと考えています。


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