小・中学校と比較すると、大幅な改訂がないといわれる高校の新学習指導要領ですが、二つの特徴が挙げられます。
(1)「活用」を重視した科目の新設
一つめは、「活用」を重視した科目が新設されることです。数学の「数学活用」は実生活における数学の役割を理解させながら、具体的な事象への活用を通して、数学的な見方や考え方、数学を活用する態度を育てることを狙いとしています。
理科の「課題研究」は自然科学の探究活動を行う科目です。英語の「コミュニケーション英語Ⅰ」は4技能を総合的に育成することを狙いとした必履修科目です。これらの科目は「活用」を具現化した指導内容となっています。
(2)高校教育の「共通性」の重視
二つめは、高校教育に「共通性」を打ち出したことです。国語の「国語総合」、数学の「数学Ⅰ」、英語の「コミュニケーション英語Ⅰ」が必履修科目となります。これらの科目は、高校教育としての「基礎・基本」を身につけさせる科目として位置づけられるでしょう。
国語、数学、理科、外国語、家庭、情報では、科目の名称変更や新設があり、それに伴って各科目の学習内容も変化します。現行の学習指導要領と比較して、単に「指導内容が減った、前の学習指導要領に戻った」という一面的な見方では、「新しい内容が加わった」という点を見落としかねません。
高校の学習指導要領改訂はまだ先のことと思われるかもしれません。ただ、小・中学校では09年度から移行措置が始まり、指導内容が増加する理数教育を中心に、一部新課程の内容が先行して実施されます。新課程への移行措置を考えると、10年度高校入試から移行措置の内容を加味した内容での実施になるのではないかと考えられます。
高校での学習を系統的に捉え、自校の生徒に身につけさせたい力を育てていくためにも、指導の改善を図っていく際、新しい学習指導要領の趣旨、内容、構成などを踏まえながら見通しを立ててほしいと思います。 |