小・中学校の学習指導要領の大きな変化は、小学1、2年生で週2コマ、小学3年生から中学3年生までは週1コマ、授業が増えることです。中学校では年間35時間増となります。しかし、これは教える「量を増やす」という意味ではなく、「質を変える」というのが基本的な考え方です。
「質を変える」というのは、現代の知識基盤社会を生きる力として必要となる知識の活用力・応用力、教科横断的な探究力や応用力を育むことに重心を移すことです。「全国学力・学習状況調査」のA問題(知識)の正答率は、全国平均のプラスマイナス5%以内にほぼ全県の平均点が収まっていました。しかし、「全国学力・学習状況調査」のB問題(活用)やPISA調査の結果を見ると、活用力に大きな課題を抱えていることがわかりました。週1コマ増えた分は、「活用」の力を身につけるための活動に充てようというわけです。
「週1コマ増えただけで活用力がつけられるのか」といった見方もあるでしょう。しかし、「習得」「活用」「探究」とで指導内容がはっきり分かれるわけではありません。能力的には「習得↓活用↓探究」と示すことができても、実際には「探究」によって新たな知識を獲得したり、活用力を高めたりといった面があります。単純に積み上げによって力をつけていくものではなく、行きつ戻りつしながら力を蓄えていく。これが今回の改訂の柱となっているのです。 |