特集 生徒の未来、教師の役割
児島邦宏

児島邦宏

Kojima Kunihiro
専門は学校経営学。中央教育審議会専門委員等を歴任。主著に『生きる力をはぐくむ』(共編著・ぎょうせい)ほか多数。

*プロフィールは取材時(08年3月)のものです

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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【小・中学校の変化】

「活用」「探究」の活動に重点を置くために授業時数増を図る

東京学芸大教授 児島邦宏 Kojima Kunihiro

小・中学校の学習指導要領の改訂によって、小・中学校の指導はどのように変わり、子どもたちはどのように変わるのか。
東京学芸大の児島邦宏教授にうかがった。

中学校では週1コマ年間35時間の授業時数増

 小・中学校の学習指導要領の大きな変化は、小学1、2年生で週2コマ、小学3年生から中学3年生までは週1コマ、授業が増えることです。中学校では年間35時間増となります。しかし、これは教える「量を増やす」という意味ではなく、「質を変える」というのが基本的な考え方です。
 「質を変える」というのは、現代の知識基盤社会を生きる力として必要となる知識の活用力・応用力、教科横断的な探究力や応用力を育むことに重心を移すことです。「全国学力・学習状況調査」のA問題(知識)の正答率は、全国平均のプラスマイナス5%以内にほぼ全県の平均点が収まっていました。しかし、「全国学力・学習状況調査」のB問題(活用)やPISA調査の結果を見ると、活用力に大きな課題を抱えていることがわかりました。週1コマ増えた分は、「活用」の力を身につけるための活動に充てようというわけです。
 「週1コマ増えただけで活用力がつけられるのか」といった見方もあるでしょう。しかし、「習得」「活用」「探究」とで指導内容がはっきり分かれるわけではありません。能力的には「習得↓活用↓探究」と示すことができても、実際には「探究」によって新たな知識を獲得したり、活用力を高めたりといった面があります。単純に積み上げによって力をつけていくものではなく、行きつ戻りつしながら力を蓄えていく。これが今回の改訂の柱となっているのです。


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