最後に、今後の指導を考える上で重要な視点を示唆しているデータ二つを紹介する。一つめは、指導の中心となる授業についてである。
高校生にとって、授業は適切なものになっているのだろうか。それを測る上で参考になるのが、「レリバンス(教師による授業の適切性)」と「レディネス(生徒による授業への準備状態)」だ。「レリバンス」は教師や授業に対する高校生の満足度を、「レディネス」は生徒自身の授業に対する態度や行動に見られる参加度を示す指標だ。
図には示していないが、レリバンスとレディネスの関係を学力層別に見ると、学力の高低にかかわらず、ほぼ一貫して「レディネス」が「レリバンス」を上回っている。成績下位層ほどその開きは大きいが、上位層になるにつれてその差は縮まり、最上位のS2レベルではレリバンスがレディネスを上回る。学力レベルの高い生徒は、自分のレディネス以上に、授業に適切性を感じているということになる。 |