特集 「自立する高校生」をどう育てるのか
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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■ 企業の求める人材像と学生の意識
計画力の育成が 大学以降の学びにも役立つ

 二つめは、企業が求める力と、それらに対する高校生・大学生の習得肯定度についてのデータである。
 図6は、企業が求める社会人基礎力()のレベルと、大学生および高校生の習得肯定度を示したデータである。大学生の習得肯定度と企業の要求レベルとの乖離(かいり)が見られるのが、「主体性」「実行力」「課題発見」「創造力」「発信力」である。これらは、社会人となる前に高校や大学において身につけておくべき資質・能力といえる。一方、高校生と大学生の肯定度の比較では、「主体性」「実行力」「計画力」などが比較的乖離している。

図6

*企業のデータは、経済産業省「社会人基礎力に関する緊急調査」(06年4月)により作図(有効回答数・企業320、大学生3,127人)。高校生のデータは、ベネッセ教育研究開発センター「確かな学力の育成をめぐる課題と展望」(08年5月刊)により作図。大学生のデータは、経済産業省「社会人基礎力に関する緊急調査」と、ベネッセ教育研究開発センター「学生満足度調査」07年版双方の平均値を表示

 「主体性(自立性)」「実行力」は高校と大学両方で伸ばしていくべき力だが、「計画力」は高校段階で身につけておくことが望ましい。なぜなら、目標を達成するためには、方法と段取り、すなわち計画力が必要であり、それは大学入学後の学習や研究活動をする上で欠かせない力だからだ。
 図示はしていないが、大学入試センターが示した「能力・資質」要件の側面から社会における業務遂行上の必要度と大学生の肯定度を比べたデータによると、最も乖離が大きかったのが「言語(自己)表現力」と「文章表現力」、いわゆる「表現力」であった。表現とは、身につけた知識やスキルを活用できて初めて成り立つものである。新学習指導要領で強調されている「活用する力」は、こうした社会のニーズを踏まえたものでもあることを、高校現場においても認識しておく必要があるだろう。

注)「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」といった、職場や地域社会で働く上で必要な力のことを指す。 経済産業省の「社会人基礎力研究会」が定義し、提唱している


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