こうした課題を解決するため、06年度に進路指導主事に就いた山崎幸則先生を中心として、進学指導の組織化に着手した。進学指導は、教師にとって最も充実感のある仕事の一つだが、中にはそれを理解しつつも『自分にはできない』『そこまで時間をかけられない』と3年生の担任を避けたいと思っている教師もいた。「このままでは学校運営に支障が生じかねない」と、山崎先生は危機感を感じていたという。
そこで、まず1~3年生の教師全員で面接・小論文指導を分担する体制を整えた。理工学系の学部は理科、経済系は社会科、文学系は国語科、看護系は体育科というように、生徒の志望学部に合った教科の教師が、指導を担当するようにした。教科によっては、担当する生徒を固定せずに、複数の教師が順番に指導している。異なる視点からの指導ができ、また生徒の緊張感を持続させられるからだ。
教師全員が推薦入試指導を担当することになって、一人ひとりの負担は軽くなったが、今度は指導のレベルを一定以上に保つことが課題となった。そこで、特に若手教師には、本番直前の生徒が面接の練習をしているビデオを何度も見てもらい、「このレベルにまで達してほしい」と指導の到達目標を明確にイメージしてもらっている。
ただ、到達目標は共有するが、具体的な指導法はそれぞれの教師に任せている。
「それぞれの指導法を尊重することによってやりがいや責任感が芽生え、教師自身の成長を促せます。指導内容を統一するよりも、教師の専門分野を生かした指導を確立した方が、生徒に合わせた指導ができると思います」(堀先生)
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