指導変革の軌跡 神奈川県立菅(すげ)高校「組織的な生徒指導による学校改革」
神奈川県立菅(すげ)高校

神奈川県立菅(すげ)高校

◎2004年度から、組織的な生徒指導の導入などによって、学校改革を積極的に推進。学校独自に「キャリア教育マスタープラン」を策定し、キャリア教育の充実も図る。07年度には部活動活性化が評価され、「かながわ部活チャレンジ賞」を受賞。

設立●1983(昭和58)年

形態●全日制/普通科/共学

生徒数(1学年)●約230名

08年度進路実績●東海大、国士舘大、拓殖大、神奈川大、桜美林大、神奈川工科大、関東学院大、工学院大、大妻女子大、国際武道大など、延べ57名が合格。

住所●〒214-0004 神奈川県川崎市多摩区菅馬場4-2-1

TEL●044-944-4141

WEB PAGE●http://www.suge-h.
pen-kanagawa.ed.jp/


小泉いづみ

▲神奈川県立菅高校校長

小泉いづみ

Koizumi Izumi

教職歴32年。同校に赴任して1年目。「生徒同士が互いに励まし合いながら切磋琢磨できる学校をつくりたい」現・神奈川県教育局保健体育課長。

勝又 修

▲神奈川県立菅高校副校長

勝又 修

Katsumata Osamu

教職歴27年。同校に赴任して2年目。「生徒には努力を忘れず、子どもに夢を与えられる大人になってほしい」現・神奈川県立鶴見総合高校副校長。

大泉政弘

▲神奈川県立菅高校教頭

大泉政弘

Oizumi Masahiro

教職歴26年。同校に赴任して5年目。「自分を愛せない人間は他人を愛することはできない。自分自身を大切にできる生徒を育てたい」

野田麻由美

▲神奈川県立菅高校

野田麻由美

Noda Mayumi

教職歴22年。同校に赴任して8年目。進路支援グループリーダー。「常に努力を続ける生徒を育てたい」現・神奈川県教育委員会高校教育課主幹。

杉山崇裕

▲神奈川県立菅高校

杉山崇裕

Sugiyama Takahiro

教職歴4年。同校に赴任して1年目。進路支援グループ。「環境が人を育てると思います。生徒に問題が見られたら、まず環境の改善を模索したい」

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指導変革の軌跡105


神奈川県立菅(すげ)高校「組織的な生徒指導による学校改革」

「やればできる」教師の思いが学校を変え
朝読書の成功で改革はより加速した

● 実践のポイント
教師による生徒指導のブレをなくすため、 指導基準を明文化
段階的な生徒指導で、生徒の不満の噴出を抑える
朝読書の成功によって、試してみることが重要だと認識

入学から卒業までに1学年で30人近くが退学

 「かつての本校を知る人は、現在の落ち着いた校内を見ると本当に驚かれます。それほど劇的な変化でした」
 2000年度から菅高校で教壇に立っている野田麻由美先生はそう振り返る。以前の同校は、生徒の素行の問題で地域に知られた高校だった。始業時間になっても教室に生徒がそろわず、机の上には教科書ではなく漫画やお菓子ばかりが置かれていた。校内で暴力を振るう生徒もいて、男子トイレの扉はよく壊されるために鉄製になった。また、卒業までに1学年で30人近くが退学し、3割ほどの生徒が進路未定のまま卒業していった。
 そうした状況を少しでも変えようと、野田先生が赴任したころから一部の教師によって生徒指導に力を入れはじめた。その過程で生徒の問題行動を助長している原因の一つに気づいた。
 「生徒指導が教師一人ひとりに任されていたため、指導の基準がばらばらでした。学校としてのルールが曖昧だったため、生徒は教師によって態度を変えていたのです」(野田先生)
 例えば、授業の遅刻は何分までは認める、という基準が教師によって異なっていた。ある教師は5分以上の遅刻でも出席扱いにしていたため、生徒は平気で遅れてくるという状況だった。
 本間利之前校長の主導により、中長期計画を策定し具体的な対策を練る「将来構想委員会」が設置された。「教師が一丸となって指導にあたり、学校を変えよう」という熱い思いは明確な改革の流れとなり、04年度から3年間を第1期と位置づけ、学校改革が本格化した。


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