指導変革の軌跡 神奈川県立菅(すげ)高校「組織的な生徒指導による学校改革」
VIEW21[高校版] 新しい進路意識向上のパートナー
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今後の課題は指導力向上とキャリア教育の充実

 07年度から2年間は第2期として、改革の重点を学習指導に移した。基礎的な学力の定着と、応用力をつける指導を確立させるのが目標だ。杉山崇裕先生は次のように話す。
 「板書をきれいにノートに整理できても、学習内容を自分の言葉で伝えることができない生徒がほとんどです。自分の頭でしっかり考える習慣をつけさせるのが先決と考えています」
 そのためには教師の指導力向上が欠かせないと、大泉教頭は指摘する。
 「学習指導に重点を移してから、授業に関しての課題が明確になりました。生徒の授業評価から見えたのは、当然のことですが、生徒はわかる授業を渇望しているということです。08年には従来の研究授業をもう一歩推し進め、指導力の底上げを図っていきます」
 これまでの取り組みにより、進学率は毎年5%程度ずつ上昇し、08年度の入試実績は初めて40%台に達した(図2)。しかし、生徒には「大学ならどこでもよい」という意識がまだ強く、将来を見据えた大学選びが必ずしもできていない。そこで、09年度からの2年間は第3期として、キャリア教育の充実を図る方針だ。副校長の勝又修先生は次のように話す。
図2
 「キャリア教育を充実させて、生徒に自分自身を深く見つめ直す機会を与え、『どのような人間になりたいか』『何を学びたいか』といった明確な考えを持たせたいと考えています。本来、大学選びはそこから始めるべきでしょうし、充実した人生を実現するには不可欠な視点だからです」
 ごく基本的な生活指導からスタートした同校の改革は、4年を経て、地域住民のだれもが「ここまで変わるとは」と驚くほどの成果をもたらした。だが、特効薬があったわけではない。教師が一丸となって根気強く問題に取り組み、次第に目標のレベルを高めていく。そのような方法で同校は、未来に向けて着実に前進している。

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