橋本博文さん
はしもと・ひろふみ 北海道大大学院文学研究科人間システム科学専攻行動システム科学専修修士課程1年(香川県立高松西高校卒業)
私は高校卒業後、地元国立大の教育学部に進学し、教師を目指していました。教師にとっていじめは避けて通れない問題です。自分なりに勉強しようといろいろな本を読んだのですが、いじめの起こる要因は「いじめをする心を持っているから」と大半の本が論じていました。だれもがいじめはいけないとわかっているのに、なぜなくならないのか。いじめをする人の心の問題を解決すれば、解消される問題なのかと疑問を抱いていたとき、山岸先生の著書『心でっかちな日本人』(日本経済新聞社)に出合ったのです。 子どももインセンティブに従って行動する。いじめを止めに入ったときに、ほかの人が助けてくれると思えば、安心して止めに入ることができる。しかし、ほかの人は傍観していると思ったら、本心ではいじめはダメだと思っても、止めに入ることはできない――。本に書かれていた説明で、いじめがなくならない理由にやっと納得できました。 これをきっかけに社会心理学を勉強したいと思い、著者である山岸先生のいる北海道大に3年生のときに編入したのです。