指導変革の軌跡 山形県立新庄北高校
真木 仁

▲山形県立新庄北高校

真木 仁

Maki Hitoshi
教職歴25年。同校に赴任して9年目。進路指導主事。「『継続』が大きな力を生むことを生徒に伝えたい」

椎名貴弘

▲山形県立新庄北高校

椎名貴弘

Shiina Takahiro
教職歴21年。同校に赴任して3年目。進路指導課。「身のまわりの事象に関心を持ち、深く考えられる生徒を育てたい」

五十嵐春美

▲山形県立新庄北高校

五十嵐春美

Igarashi Harumi
教職歴18年。同校に赴任して6年目。2学年担任。「生徒の学力だけではなく、人間性を高める指導を心がけている」

高橋美和子

▲山形県立新庄北高校

高橋美和子

Takahashi Miwako
教職歴14年。同校に赴任して2年目。2学年担任。「常に向上心を持って努力し続ける生徒を育てたい」

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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データ分析で見えてきた数学と英語の違い

 同校は、初期指導を年度始めだけでなく、学期の始まりや節目の時期にも継続する。日々変化する生徒に応じ、臨機応変な指導が求められるからだ。年1回だったスタディーサポートを、07年度の1年生から春夏2回の実施としたのも、生徒の変化に柔軟に対応するためだ。
 「これまでスタディーサポートは入学直後と2年生4月の結果を比較して、学習法や教科に対する意識などを把握していました。ただ、入学直後の結果は、あくまで中学校における指導を反映したもの。本校での指導の成果を1年経ってから検証していては、生徒の変化に対応できません。一度後手に回れば、軌道修正は非常に困難です」(真木先生)
 同年の9月上旬には、2回目のスタディーサポートの結果から見えてきた成果と課題を踏まえ、学年集会で「アップグレードガイダンス」を実施。1学期間の学習の成果を紹介し、生活のリズムや学習法を整えるよう呼びかけた。
 スタディーサポートの分析結果は、教師の指導改善にも活用。07年度1年生の2回目の分析結果では、数学では意識や学習時間の伸びが確認できたが、英語では得意な生徒が減り、苦手な生徒が増えるなどの意識の低下が見られた(図1)。そこで、英語科では1学年担当の教師が、授業の進め方や課題の与え方を再考した。

図1

 英語担当の高橋美和子先生は、「数学と英語を比べると課題の与え方に違いがあることがわかりました。数学科は『日々演』というプリントを毎日課していましたが、英語科では『次のテストまでにテキストのこの範囲をやってきなさい』というように、課題の指示が漠然としていました。生徒は具体的に何に取り組めばよいのかわからないという状況でした。第2回のスタディーサポートで、英語が苦手と回答した生徒が増加しているのがそのことを顕著に物語っていました」と話す。
 そこで、数学科が行っていた「日々演」を、「デイリーイングリッシュ」として取り入れた。日々学習すべき内容をプリントにして具体的に示すことによって、休み時間や放課後に課題に取り組む生徒の姿が見られるようになった。
 更に、授業の進め方や予習の方法など、英語の指導全体を見直したところ、11月の進研模試では7月と比較して、成績上位層が増加し、成績下位層が減少する結果となった(図2)。

図2

 五十嵐先生は、「模試でもスタディーサポートでも大切なのは、その結果を教師がどのように指導改善に生かしていくかということです。結果をしっかり分析し、次の指導につなげていけるよう教師一人ひとりが意識しなければなりません」と話す。


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