「以前の調査は全体動向の把握が主な目的となっていて、個々の生徒の志望について、教師が活用できる材料にはなっていませんでした。生徒も大半は調査票を出すだけで、本気に考えて書いてはいませんでした。自分で調べて書くことで、大学の学問内容を把握させると同時に、志望に対する意識を高めたいと考えました」
実施時期は4月、9月、1月の年3回。1年生4月は志望大・学部・学科、学問内容、卒業後の進路のみだが、それ以降はセンター試験の科目・配点やボーダー得点率、個別学力試験の科目と配点、直近の自分の模試成績、弱点分野と克服の対策についても書かせる。
「3年生になってもモチベーションが上がらないのは、生徒自身、その大学に行きたい理由をわかっていないからです。推薦入試を希望する3年生の中には、志望理由を言えない生徒がいます。自分の適性や将来の展望を早期に考えさせる必要性を痛感します」(五十嵐先生)
もちろん、最初からすんなりと記入できる生徒は稀だ。特に1年生の最初の調査では、教師が繰り返し面談を行い、生徒の適性や希望を引き出したり、大学・学部研究の方法について手取り足取りレクチャーしたりする。生徒によっては3~4回面談を行い、1か月以上かけて調査票を完成させることも珍しくないという。
「1・2年生の生徒が進路資料室で赤本や大学案内を開く姿を多く見るようになりました。2年生の段階で志望理由まで明確にし、3年生はその実現に向けて学習に打ち込めるようにもっていきたい」と真木先生は抱負を述べる。
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