指導変革の軌跡 奈良県・私立橿原学院高校
奈良県・私立橿原学院高校

奈良県・私立橿原学院高校

◎2008年に創立45年目を迎えた。「新風―NO1へ挑戦―」をキャッチフレーズに、常にグローバルな視野に立って考え、行動できる人物の育成を目標とする。国公立大・難関大を目指す特進コース、関西6大学を目指す標準コース、美術系大学合格を目指す美術科を設置。部活動は陸上、レスリング、弓道などが、近畿、全国大会で活躍。

設立●1964(昭和39)年

形態●全日制/普通科・美術科/共学

生徒数(1学年)●約140名

08年度進路実績●国公立大は、徳島大1名、都留文科大1名が合格。私立大には、日本福祉大、京都嵯峨芸術大、京都産業大、同志社大、同志社女子大、立命館大、龍谷大、大阪芸術大、大阪工業大、関西大、関西福祉科学大、近畿大などに延べ112名が合格。

住所●〒634-0063 奈良県橿原市久米町222

TEL●0744-27-3242

WEB PAGE●http://www.
kashigaku.ed.jp

VIEW21[高校版] 新しい組織的な生徒指導による学校改革のパートナー
  PAGE 11/15 前ページ  次ページ

指導変革の軌跡108


奈良県・私立橿原(かしはら)学院高校「生徒と深くかかわるチューター制」

チューター教師と担任の連携で
生徒の内面に深く切り込む

● 実践のポイント
生徒自身が教師を選ぶ「チューター制」を導入
担任とチューター教師が連携し、生徒の状況を的確につかむ
少しレベルの高い早朝テストで、生徒に自信をつけさせる

特進コースを設置し進学重視の指導となるが…

 「あともう一歩で合格点だな」
 「この問題集をやってみたらどうだ」
 橿原学院高校の職員室やカウンセリングルーム、廊下の隅では、生徒と教師が一対一で向き合う姿がよく見られる。話題は学習や志望校選びだけではない。日々の悩みや将来の夢、ときには恋愛のことまで話す。生徒がリラックスしているのは、目の前にいる教師が自ら選んだ「チューター」だからだろう。チューターは、生徒自身が担任以外から1人の教師を選び、1年間、相談役になる「もう1人の担任」だ。生徒の本質に迫ろうと、3年前に導入した。
 同校が特進コースを設置し、本格的に進学校へと脱皮を図り始めたのは13年前のことだ。国公立大・難関私立大の合格者増を目指し、新たなカリキュラムや進路行事を取り入れ、授業時数や補習は可能な限り増やした。しかし、設置から3年経っても、思うような成果が得られなかった。ようやく合格者が増えたと思えば、次年度は突然減るというように、実績が安定しなかった。年度によって学年全体の学力レベルに多少の違いがあるとはいえ、必ずしも進学実績とは連動していなかったのだ。進路指導部長の松下幸大先生は、次のように述べる。
 「実績が上がった要因は何か。進路指導部や教師同士で何度も話し合いましたが、結論は出ていません。ただ確実にいえるのは、実績が出た学年の教師は、生徒と徹底的に『かかわっていた』ということでした。制度的な枠組みを整えるだけではなく、指導にあたる教師一人ひとりが、いかに生徒の本質に迫れるかに焦点を絞る必要があると考えました」

  PAGE 11/15 前ページ  次ページ