指導変革の軌跡 奈良県・私立橿原学院高校
松下幸大

▲橿原学院高校

松下幸大

Matsushita Yukio

教職歴・赴任歴共に23年。進路指導部長。「『継続は力なり』ということを生徒に伝えていきたい」

木村隆博

▲橿原学院高校

木村隆博

Kimura Takahiro

教職歴・赴任歴共に24年。教務部長。特進コース担任。「モットーは『泣かない、負けない、気にしない』」

上田修平

▲橿原学院高校

上田修平

Ueda Nobuhiro

教職歴13年。同校に赴任して10年目。特進コース主任。「常に感謝の気持ちを忘れない生徒を育てていきたい」

VIEW21[高校版] 新しい組織的な生徒指導による学校改革のパートナー
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徹底的にかかわることで生徒の内面に迫る

 教師が徹底的にかかわることによって、生徒の内面に光を当てる。その方針を具体的な形にしたのが、冒頭に紹介した「チューター制」だ()。教務部長の木村隆博先生は「生徒の本音に迫るために何よりも大切なのは、徹底的に話すこと。教師もできる限り自分をさらけ出す。そうした深いかかわりの中でしか、生徒の本当の姿は見えてこないのです」と強調する。

図

 チューター制は2、3年生で取り入れている。生徒は、新任教師を除いて、常勤教師全員の中から1人を選ぶ。毎年5~6月、申請書に第3希望まで、第1希望の教師については理由も添えて提出する。基本的に、教師が引き受ければ申請はそのまま通る。そのため、特定の教師に登録が集中することもあり、例えば、木村先生には最多の49人が登録している。
 申請の理由は生徒によってさまざまだが、圧倒的に多いのは「話しやすい」「信頼できる」だ。美術科の生徒ならば「悩みを理解してくれる」教師、特進コースの生徒ならばあえて苦手教科や受験科目の担当教師を選び、個別指導を求めることもある。「意欲の高い生徒が選ぶのは、必ずしも『優しい先生』ばかりではありません。厳しい教師ほど愛情を持って接してくれていることを、生徒はしっかり感じ取っているのでしょう。生徒が教師に何を求めているのかが鮮明になりました」と木村先生は話す。
 チューターの登録は1年ごとに更新するが、3年生の登録時には、多くの生徒が2年生と同じ教師を指名する。チューターに対する生徒の信頼度、満足度の高さを示しているといえるだろう。
 ちなみに、1年生の段階ではだれが自分に合っているのかわからないとして、チューター制は実施していない。1年間は、どの教師に登録するのかを検討する期間としている。


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