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先輩教師の言葉
生徒と一緒に
厳しさの中に幸せを探すのが教師です
諫早市立諫早図書館館長 HIRATA TOKUO
平田 徳男
長崎南高校は、私にとっては教師としての母校です。前任校で私は、自分にもっと指導力があれば、生徒を十分に伸ばすことができたはず、という経験をしていました。自責の念を抱えた私を、長崎南高校の先輩たちは存分に鍛えてくれました。だから私は、若い先生を見守りながらも、自分がそうであったように、自由にのびのびやってもらいたかったのです。
生徒にとって、田川先生は怖い先生でしたが、同時に、教えてもらいたい先生でもありました。自分がどれくらい伸びるか、とことん鍛えてもらいたかったのです。私は、学校にはいろいろな個性の先生が必要だと考えます。多彩な先生が集まってこそ、多才な学校ができる。だからあのころ、私は田川先生に「思いきりやってください」とお話ししたのです。
学年会の資料をつくり直してもらったこともよく覚えていますよ。当時の日記を読み返すと、こう書いてあります。「今、『上を向いて歩こう』をキャッチフレーズに、1年の田川先生をたき付けている」。若い田川先生が燃えれば、まわりの先生も大きな刺激を受けるはずだという思いもありました。校内会議で九州の先進校の事例が田川先生からだけでなく、多くの先生から頻繁に報告され、先生方が視察にも積極的に向かうようになったときは「これだ!」と思ったものです。
きついことは嫌だ、というのは生徒も教師も同じだと思うのです。ただ、きついのは嫌だという半面、鍛えられたいという欲求もある。だから私は「あのころは楽しかった」ではなく「あのころは厳しくて、きつかった。けれど、よかった」と振り返りたかったのです。
だれしも、楽な道を選びたくなることはあるでしょう。しかし、幸福は、楽しいことを選んだ先にあるのではなく、しなければならないことを楽しんでする中にあると思うのです。教師が、すべきことを思い通りに行う厳しさと幸せが、あのころ確かにありました。
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