特集 つなぐ教師の教科指導力
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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生徒の進路希望をかなえる学力をつける

島崎 高校生が身に付けるべき英語力とは、どのようなものでしょうか。私は、英語はコミュニケーションや視野を広げるための手段だと考えています。英語の習得自体が学習目的ではなく、英語を使って何かすることが大切だと思うので、課題文に関連した記事を配付したり、自己表現の活動をなるべく多く取り入れるようにしています。しかし3年生になると、活動を続けたいけれども、受験に対応した指導が中心となってしまいます。受験指導を踏まえた効果的な活動があると思うのですが…。
尾崎 英語は語学ですから、本来、4技能である「聞く、話す、読む、書く」をバランスよく教えることが大切だと思います。ただ、入試までに合格に必要な力を付けるためには、授業や補習だけでは時間が限られていて、必要最小限になってしまう。私自身、外国人と直接英語で話すときが、今でも一番わくわくします。自分の伝えたいことが相手に通じた瞬間は、何度経験しても感動します。生徒にもそれをたくさん体験してほしい。ただ先ほどの話にあったように、指導では「生徒が何を必要としているのか」、つまり「What my students want」を常に考えることが最も重要であり、「生徒の進路希望をかなえるための学力」が優先されるべきだと思います。
狩野 英語の学習は高校3年間で終わりというものではありません。将来、仕事で英語が必要になるかもしれませんし、海外旅行で使うこともあるでしょう。「卒業したら英語なんて使わないよ」という生徒でも、将来、必要が生じて、あるいは趣味で英語の学習をするかもしれない。そのときのための「土台」をつくっておくことが、高校の英語教育の役割ではないでしょうか。
尾崎 英語学習には決まった到達点がありません。うまくコミュニケーションをしたいと思ったら、学ぶことは限りなくあります。グローバル社会の今は、いつ英語が必要になるかも知れません。だから、卒業後には英語が必要なくなるという生徒にこそ、高校で指導する範囲の基礎・基本は最低限しっかり身に付けて卒業させたいと思って指導しています。

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