狩野 |
私の教育実習生時代に、その高校の先生が「よい先生というのは教科力のある先生だとは思いませんか」とおっしゃいました。当時大学生だった私にはその言葉はピンとこなかったのですが、教師の経験を積んだ今はその言葉の意味がよくわかります。私がこれまでに出会った先生の中で、生徒から信頼を得ている先生は、教科指導力に優れ、ご自身がよく勉強をされています。そうした先生方をお手本にしながら、もっと良い教え方があるのではないかと奮闘する日々です。 |
尾崎 |
指導内容はベースが同じでも、時代と共に変化する部分があります。どんなにたくさん経験を積んだとしても、学ぶ姿勢を忘れてはならないと思います。 |
島崎 |
教師になって3年目の私は毎日が勉強です。中でも、作問は指導力向上に役立っていると思います。勤務校では、定期考査の問題作成などを私にある程度任せてくれます。もちろん先輩の先生方から指摘を受けて何度も直しますが、その理由も時間をかけて根気強く教えてくれます。作問には生徒把握と教科の専門知識の両方が端的に求められるので、苦労はしますが勉強になります。 |
狩野 |
教科指導には「授業力」と「教科力」の両方が求められる。どちらが欠けても成り立ちません。「授業力」には、板書や発問の仕方だけでなく、生徒把握や3年間を見通した計画性などが重要な要素になると思います。また、「教科力」は、教えるための知識としてだけではなく、生徒から信頼されるためにも必要です。生徒の質問に対してたびたび答えに窮したり、内容のあやふやな授業をしたりすると、生徒は教師の力量を敏感に察知します。頼りにならないと思った教師の言葉に、生徒は耳を貸したりしないものです。 |
尾崎 |
私は、教科指導力に必要な要素は次の四つだと考えています。第1に、高校1年生から3年生までの発達過程を踏まえ、生徒の伸びしろを考えた段階的指導ができるか。第2に、先ほども述べた「聞く、話す、読む、書く」および言語材料のバランスが取れた指導ができるか。第3に、言語教育の必要条件であるトレーニングの時間を確保した指導ができるか。そして第4に、母国語以外の言語を使用し「筋道を立てて考えをめぐらす時間」を確保した指導ができるかです。四つめの要素は、私が英語科での教科指導力で最も重要要素と考えているものです。 |