特集 つなぐ教師の教科指導力
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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他教科からも学べることは多くある

島崎 授業力を高めるために、私はこれまでたくさんの先生に授業を見ていただきました。勤務校では6月と11月に1週間ずつ授業公開を行い、一つは担当教科、もう一つは他教科の授業を見て、評価し合っています。国語の先生からは「専門用語が多すぎて、生徒に伝わっていないことがある」、数学の先生からは「板書が構造的でない。生徒にはわかりにくいだろう」という指摘をいただきました。いろいろな観点からのアドバイスは勉強になります。
狩野 授業公開は実施3年目となりますが、若手だけでなく、ベテランにも指導力を見直すよい機会となっています。その意義は浸透し、授業を見せ合うことは、指導力を高める手立ての一つになるという意識が定着しています。
島崎 私から頼んで、他教科の先生の授業を見学させてもらうこともあります。指示と活動のタイミングを知りたいときは体育の授業を、発問の仕方を鍛えたいときは現代文の授業を、また、文法の説明やドリルの活用方法を学びたいときには古典の授業を見学しました。他校の先生であっても、授業見学をお願いすることもあります。私のような若手教師にそうした機会を与えてくれる学校に感謝しています。
尾崎 お二人の高校は開かれた学校ですね。教科に関しては、教師同士の価値観の違いがあるので、教科教育について話し合うのは難しい側面があると思います。ただ、例えば、テストの採点をしながら苦手分野の対策をどうすればよいのか、カリキュラムをつくりながら学年の指導をどう組み立てようかと、先生同士であれこれ話をしていると思います。そうした機会をもっと増やせば、互いに学べることがあるのではないでしょうか。
狩野 これまで3校の高校に勤務しましたが、行く先々で同僚の先生方と、どうすれば生徒に力の付く指導ができるのかを模索してきました。「目の前の生徒」という共通の目標を介してなら、教科の話もしやすいかもしれません。
尾崎 教師は数年ごとに異動がありますから、まずはそれが教科指導力を高めるよい機会となるのではないでしょうか。学校が変われば生徒が変わり、それまで培ってきた指導法が通用しなくなることはよくあります。壁に突き当たったとき、では、目の前の生徒のためにどうすればよいのかと考える。どの学校にも教科指導力の優れた教師がいるものです。その先生と話をしたり授業を見せ合ったりして、指導の仕方を真似る。たとえ教科が異なっても、生徒の把握や指導技術で学べる点はあります。そうして指導の引き出しを一つずつ地道に増やしていくことが、教師の技量を上げることにつながると思うのです。
生徒の実態

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