特集 つなぐ教師の教科指導力
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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発問を工夫して生徒に考えさせる

 「考えさせる」ことを重視する指導は、初任の定時制高校のときも、現在の進学を中心とした高校でも変わらず意識し続けています。
 その意味で、初任校は私なりの指導のスタイルを築く上で貴重な体験となりました。心がけたのは、生徒に自信を持たせることです。定時制高校の生徒は、さまざまな理由によって勉強に打ち込めず、基礎・基本が身に付いていないため、多くの生徒は学力に自信を持っていません。そのため、生徒が本当に理解できるまで、かなりの時間をかけました。授業で問題を示して、ある生徒に問いかける。わからない場合でも、そのままにして別の生徒を当てたのでは、その生徒は自信ややる気を失うだけです。私は「じゃあ、この問題ならどうだ」と、即座に関連した別の問題や式を出して理解を促しました。
 こうした指導を繰り返す中で、私は、ここまで噛み砕けば理解してもらえる、こういう視点を与えれば生徒は自分で考えられるということが、徐々につかめるようになりました(図1)。小・中学校で学んだ知識を使って考えさせることで、基礎・基本の大切さを実感させると同時に、自分にもできるという自信を付けさせるようにしたのです。
 わからないことの悔しさ、内心わかりたいと思っていても格好をつけて、それを表に出さないプライドを抱く生徒に対して、どのようにしたら数学の楽しさを伝えられるのか、わかりやすい授業をするためにはどうすればよいのか。定時制高校での4年間に考え続け、実践してきたことが、自分の指導のベースになっています。
図1

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