特集 つなぐ教師の教科指導力
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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多様な解法を見せることで発想力・展開力を養う

 問題の本質が理解できるように、ときには一つの問題に必要以上の時間をかけることもあります。例えば、円順列では、nPn/nと(n-1)!の違いを理解するまで何回も話します。難しい公式については、簡単な例を用いて理解させることもあります。区分求積法では、教科書に載っている公式は覚えさせずに「細かく刻んだ短冊(細い長方形)の面積の和」ということを意識して指導します。
 また、理解させるときには、「この問題で不等号が逆向きに付いたらどうなるのか」「この数字が負になったらどうか」など、多角的に問題にアプローチすることで、その問題の本質まで理解させるよう努めています。
 既に基礎・基本が身に付いている生徒に対しては、生徒の思考の幅を広げる工夫として、別の単元で学んだ定理や公式を用いて解答にたどり着ける問題を出したり、いろいろな考え方で公式を理解するための材料を提示したりしています(図2)。一つの問題から何通りもの解法が導き出せることを見せて、いろいろな発想ができるように頭を柔らかくしていくわけです。数学という教科の要である「頭をよくする」ための訓練といってもよいでしょう。
 気を付けるべき点は、成績上位者の中には、教科書を軽んじる生徒もいることです。その場合、さまざまな解法を見せた上で、結局は教科書にある内容が基になっているということを実感できるようにしています。これは、基礎・基本の大切さを実感させることにもつながります。
 ただ、1、2年生はあくまで、基礎・基本を徹底的に身に付けさせる時期だと思います。一度に多くのことを教えたのでは混乱するだけですから、解法はあくまでシンプルに、最低限の内容を完璧に身に付けさせることを重要視しています。
図2

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