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言語の運用能力規準でテストを作問 |
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私は、国語、とりわけ現代文で重要なのは、「知識規準」ではなく「能力規準」で授業を組み立て、生徒を指導していくことだと考えます。
進学校に入学する生徒の中には、中学生のころ、「国語は暗記科目だ」と捉えていた者も多くいます。授業中の板書の内容を丸暗記すれば、定期考査では高得点が出せるからです。しかし、未習の文章に出合ったときに、授業で習得した知識や技能を活用してその文章を読みこなせてこそ、言語運用能力が高まったと評価できるのです。
ですから、授業では、どの教材を使い、どのような言語能力を高めさせたいのか、どう指導すればそれを鍛えられるのかを、教師が意識しながら臨むことが重要です。
そして、定期考査の作問でも、その能力の状態を規準とした問題にすることが重要です。授業中に生徒が習った教科書の文章をそのままテストで用いるのではなく、その作品の原典を手元に置き、教材化されている以外の文章を用いて作問します。それによって、授業で習得した知識や技能を活用する能力が高まっているのかを測るのです。
「能力規準」で指導と評価を一体化する必要は、校内実力テストにおいても同じです。入試問題や問題集から問題を抜き書きするのではなく、教師自身がテキストを探し、ゼロから問題をつくることが大切です。普段の指導内容を前提に、生徒の習熟度や測りたい言語能力をイメージしながら、オリジナルの問題を作成するのです。
もちろん、定期考査や校内実力テストで能力規準の作問をすることはかなりの負担になりますから、教師間で作問を分担し、互いに問題をチェックすることが大事です。「この設問の仕方では、生徒のどのような力を測ろうとしているのかが明確ではない」「空欄補充問題をつくるなら、ここに空欄を設けた方が効果的ではないか」というような相互批評によって、教師個々の作問力が向上します。
評価能力の向上は、指導力の向上です。同時に、協働作業を通じて、生徒にどのような言語運用能力を身に付けさせたいのか、教師間で共有することも促進できます。また、作問だけでなく、自作教材の規準化と蓄積を図ると、学校としての指導に厚みと連続性が生まれます。 |
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