特集 つなぐ教師の教科指導力
小原孝久

東京都立国立高校

小原孝久

Kohara Takahisa
教職歴32年。同校に赴任して5年目。2学年担任。東京都立豊島工業高校、東京都立駒場高校等で教壇に立つ。

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
  PAGE 14/19 前ページ  次ページ

【インタビュー】 私が考える教科指導 公民

多面的な見方を提示し考えさせる授業で
「社会への目」を育てる

東京都立国立高校 小原孝久先生

「高校時代は将来を見据える時期にあり、そのために社会を知る必要がある。
社会を学ぶ公民が果たすべき役割は大きい」と話す小原孝久先生。
客観的、多面的な考えを提示し、生徒が意見を述べる機会を設けて、
考える力を育てようとしている。

社会に目を向け「考える力」を付けさせる

 公民の授業を通じて、私が生徒に身に付けさせたいことは四つです。
  1. 社会に興味・関心を持つ
  2. 考える力、表現できる力を付ける
  3. 問題を多面的・客観的に見、前向きに社会を批判できる力を付ける
  4. 社会に目を向けられる人となる土台として、「自己への目」を培う
 高校時代は、将来の生き方を見据えるべき時期にあたります。そのためには、自分がこれから生きていく社会が、どのような仕組みで動き、どのような課題を抱えているのかを知らなくてはなりません。社会問題について自分で考え、意見を表明できる力を伸ばすことも重要です。
 社会は変わっていくものです。いまは主流である主義や主張が絶対的なものでないことは、歴史を見れば明らかです。社会的な問題は、一元的な見方では本質に迫れない複雑な背景や側面を持つ場合がほとんどです。そこで求められるのが、問題を多面的・客観的に見ることができる力と、前向きに社会を批判できる力を持つことです。
 もう一つ重視しているのは、「自分を見つめる目」を培うことです。私の経験では、しっかりとした「社会への目」を獲得している生徒は、自分自身に対してもきちんと目を向けることができています。社会に対して自分なりの視点を持つと同時に、社会の中で自分はどう生きていくのかをしっかり見つめられる生徒を育てたいと考えています。

  PAGE 14/19 前ページ  次ページ