特集 つなぐ教師の教科指導力
増田信夫

栃木県・私立文星芸術大附属高校

増田信夫

Masuda Nobuo
教職歴43年。同校に赴任して6年目。英進科教諭。栃木県立宇都宮東高校、栃木県立烏山高校等に勤務。

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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【インタビュー】 私が考える教科指導 理科(物理)

考え方のストーリーを重視し、
物理現象の本質を見極める力を培う

栃木県・私立文星芸術大附属高校 増田信夫先生

知識は覚えていなくても、インターネットですぐわかる。
そうした時代に必要なのは、知識を活用し分析する力なのではないか……。
増田信夫先生は「物理の本質を理解し論理的に考えることで、問題は解ける。
その過程で養われる思考力こそが生徒に身に付けさせたい力」と話す。

生徒の目線に立った授業を他校の先生と磨き合う

 私が最初に赴任したのは、分校から本校になったばかりの小さな高校で、物理教師は私1人でした。指導力を高めようにも、身近に手本となる先生がいませんでした。私はすぐに栃木県高等学校教育研究会の理科部会物理分科会に参加し、他校の先生の指導ノウハウを吸収するよう心がけました。
 研究会には年2回の研究授業があり、早くも2年目に私の番が回ってきました。駆け出しの私がベテランの先生の前で授業をしようというのですから、ものすごいプレッシャーでした。
 そこで、前年に研究授業を見学して感動した先生を訪ね、アドバイスを頂きました。授業に関する具体的な手法も勉強になりましたが、それ以上に刺激を受けたのは、先生の授業に対する姿勢です。自分の授業を受けて、生徒は何を考えるか、どう感じるか、この説明で15~18歳の子どもが理解できるのか…。常に生徒の目線で、説明の仕方や授業の進め方に思いをめぐらせていることに敬服しました。
 振り返ってみると、この体験が私の教科指導の原点なのだと思います。以来、生徒の立場に立った授業はどうあるべきかを、常に考えてきました。物理現象は実際にその動きを見せないことには、本当の理解は得られません。言葉で説明しても、イラストなどで目に見える形にしても、所詮は机上のもの。ですから、身近なものを活用して、実験装置を製作し、観察・測定させ、より身近で本質的な捉え方ができるよう、指導を工夫しました。それは公立高校を定年退職し、私立校の教壇に立つ今でも追究し続けています。

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