指導変革の軌跡 沖縄県立那覇国際高校「進路検討会の導入と改善」
伊志嶺嘉典

▲沖縄県立那覇国際高校

伊志嶺嘉典

Ishimine Yoshinori

教職歴17年。同校に赴任して5年目。進路ガイダンス部主任。「多少の困難に負けない、打たれ強い生徒を育てたい」

辻上弘子

▲沖縄県立那覇国際高校

辻上弘子

Tsujigami Hiroko

教職歴19年。同校に赴任して9年目。3学年主任。「進路実現に向け、学力と人間力のバランスの取れた生徒を育てたい」

西原誠

▲沖縄県立那覇国際高校

西原誠

Nishihara Makoto

教職歴20年。同校に赴任して5年目。2学年主任。「生徒の志望を実現するために、教師同士の連携を深めていきたい」

上江洲隆

▲沖縄県立那覇国際高校

上江洲隆

Uezu Takashi

教職歴18年。同校に赴任して4年目。教務主任。「生徒には『守・破・離』の心構えを伝えていきたい」

VIEW21[高校版] 新しい進路検討会の導入と改善のパートナー
  PAGE 2/15 前ページ  次ページ

成功にあと押しされて進路検討会を拡充

図1 それまで同校の進路指導は、教師個々の指導力に負うところが大きかった。進路ガイダンス部主任の伊志嶺嘉典(いしみねよしのり)先生は、「例えば、学部・学科について、ある分野には詳しいけれども、別の分野は適切な指導ができない場合もありました。学年団全員がアドバイザーになることで指導の充実を図りたいと考えました」と導入の意図を語る。
 07年3月の合格実績を受けて、07年度には進路検討会の定着を図った(図1)。
 実施は7月、12月、1月の年3回。7月は2年生1、2月の進研模試と5月の校内実力テストの結果、および5月の二者面談で話し合った内容を踏まえ、志望校と実力のマッチングを検討する。検討対象は、高い志望にこだわる生徒、自信がなく志望を下げようとしている生徒だ。12月は9、10月の模試結果を基に志望校の確定、1月はセンター試験の結果を踏まえて最終出願先の絞り込みを行う。かける時間は、7月、12月が1日3クラス各1時間で3日、1月は8時間ほどで全生徒のデータを検討する。
 参加する教師の幅も広げた。7月は進路ガイダンス部、3学年の担任・副担任、国・数・英の教科担当が参加。12月は更に理科の教科担当が加わり、1月は管理職も含めて多くの教師が参加する。「06年度の3年生が予想以上の実績を上げたため、進路検討会の有効性が教師の間に浸透しました。教科担当に参加をお願いするときも、皆、賛同してくれました。教科担当は、教科指導の必要な生徒にすぐアドバイスできるよう、指導方法のアドバイザーとして位置付けられています」と、西原先生は振り返る。

 07年度3年生では、2年生の1月にも進路検討会を実施。地方国公立大志望、私立大志望といった大まかな範囲で検討を行い、生徒に3年生に向けてのアドバイスをした。この学年は、国公立大現役合格者数171人と、過去最高の進学実績を上げた。
 「実は、今年の3年生は、行事の関係で2年生のときに進路検討会を開けていません。そのため、3年生の初めての模試で志望校がきちんと考えられておらず、指導が遅れていました。2年生での進路検討会は必要だと感じました」(伊志嶺先生)
 進路検討会を始めて今年で3年目だが、取り組みの検証と改善を繰り返していることも、検討会が効果的に機能しているポイントだろう。


  PAGE 2/15 前ページ 次ページ