このように、進路検討会成功の背景には進路ガイダンス部と学年団との密な連携があるが、進路検討会以外でも両者が連携し、同校の躍進を支えている。例えば、進路ガイダンス部主催の小論文講座や、希望制の外部模試などへの生徒の申し込み状況は、その都度、担任に伝える。担任は必要ならば面談で参加を促し、模試の申し込みをしていない生徒に声をかける。
進路ガイダンス部が学年会に参加する機会も増えた。時期ごとに生徒に周知すべきことを伝え、生徒の気持ちが緩みがちな時期を見計らい、声かけを学年団に依頼する。
学年団からも進路ガイダンス部に対して、学年集会での講話を積極的に依頼するようになった。「進路ガイダンス部と学年団が融合し、一つになりつつあることを感じます」と辻上先生は話す。
月1回の学年集会は、かつては生活指導に重点を置いていたが、今は進路情報を提供する場となった。進路ガイダンス部から模試の結果やアドバイス、志望校選択にあたっての注意点など、時期に応じて生徒に必要な情報を伝える。
進路ガイダンス部が発行する進路便り『飛躍』は、生徒を鼓舞するための重要なツールだ(図2)。推薦入試の流れやセンター試験の心構え、進研模試の詳細なデータなど、学年集会では伝えきれないタイムリーな情報を盛り込む。データを使うときも、全国や実績を出した過年度の学年と比較するなどの工夫を凝らす。発行はほぼ毎日で、年間230~240号にもなる。更に3年生には、辻上先生が学年主任の立場から時々の思いをエッセイ風にまとめた『学年便り』も、ほぼ毎日配付する。「激励の言葉を投げかけることで、生徒の教師への信頼が高まっていると感じます」と、辻上先生は話す。
学年集会や学年通信の目的は、生徒の意欲を高めるだけではない。「模試の結果を踏まえて今の生徒に必要なことは何か、生徒が焦りを感じ始める時期にはどのような声かけが必要か。若手教師にとって、進路ガイダンス部やベテラン教師から学ぶべき点は多くあります」と辻上先生は説明する。担任間の指導力の差を補う上でも、欠かせない取り組みになっている。
今後は、体系的な進路指導体制を構築する予定だ。生徒向けの進路計画表を基に、この時期までに何を終わらせておくか、生徒にどのような働きかけをするのかなど、学年団や教師の活動を大枠として示す「教師用進路シラバス」をつくる。「実績を安定させるためには、教師が替わっても指導の骨格がぶれないようにすることが大切」と、西原先生は強調する。 |