指導変革の軌跡 沖縄県立那覇国際高校「進路検討会の導入と改善」

VIEW21[高校版] 新しい進路検討会の導入と改善のパートナー
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自学自習を促すためのシラバスの活用に課題

 着実に実績を伸ばす同校だが、課題もある。自学自習力の育成だ。毎日朝学習を実施し、夜は8時までセミナーハウスを開放して自学自習の場を設けているが、家庭学習時間は依然として横ばいで、自ら進んで学習する生徒は少ない。小誌03年6月号で紹介した自学自習を促す目的で改善を重ねる同校のシラバスの活用状況はどうなのだろうか。
 このシラバスは、予習の範囲があらかじめわかるように、授業1コマごとに授業内容や教材の使用範囲を示し、「生徒が使える」工夫も随所に盛り込む。例えば、国語や英語ではシラバスとワークブックを合体し、自学自習に活用しやすいようになっている。地歴・公民では「予習カード」を綴じ込み、予習をしたり、質問を書いて教師に提出したりできるようにしている。
 教師の使い方や生徒の取り組み方によっては効果的だが、学校全体としては活用しきれていないのが現状だ。年度末に生徒に実施するアンケートでも、シラバスに対する評価は高くない。そのため、毎年、各教科のシラバス担当が中心となって改善点を洗い出し、変更を加えている。教務主任の上江洲(うえず)隆先生は次のように話す。
 「教務部を中心とするシラバス委員会がありますが、改編は各教科に任されています。自学自習のために必要だという意識は全教師で共有されていますが、シラバスの形式が教科で異なることや、ワークブック化されていることを課題とする声もあります。本校のシラバスはどうあるべきかという点については、今後も研究していきたいと考えています」
 今後の目標は、生徒の意識を難関大に向けることだ。07年度、2年生後期から難関大志望者を集めて補習の強化や意識付けを図ったところ、ほかの生徒も学習意欲を高めるといった波及効果が見られた。「コンスタントに実績を上げられるようになった今こそ、難関大志望者向けのプロジェクトの充実を図りたい」と、伊志嶺先生は意欲的に語る。
 「これまでの指導では、地元の琉球大や地方国公立大に一定数を合格させることに主眼を置いてきました。今求められているのは、いかに難関大合格者の数を増やすか。そのためには、『那覇国際高校に預ければ安心』という思いを、保護者や地域の方々に持ってもらうことが大切です。教師一丸となって、生徒一人ひとりの志望を実現させることに全力を注いでいきたいと思います」(伊志嶺先生)


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