指導変革の軌跡 茨城県立古河第三高校
茨城県立古河第三高校

茨城県立古河第三高校

◎「自立・敬愛・創造」を校訓として、豊かな人間性の育成と進路希望の実現を目指す。運動部では、野球部、サッカー部、ソフトテニス部、水泳部などが県大会や関東大会などに出場、文化部は写真部、美術部が県代表として全国高校総合文化祭に出展するなど、部活動でも実績を残す。

設立●1969(昭和44)年

形態●全日制/普通科/共学

生徒数(1学年)●約240名

08年度進路実績●国公立大は、茨城大、宇都宮大、埼玉大、東京海洋大、高知大、茨城県立医療大、首都大学東京などに36名が合格。私立大には、青山学院大、慶應義塾大、中央大、東京女子大、東京理科大、法政大、明治大、立教大などに延べ328名が合格。

住所●306-0054 茨城県古河市中田新田12-1

TEL●0280-48-2755

WEB PAGE●http://www.koga3
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VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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指導変革の軌跡110


茨城県立古河第三高校「進学校への再起」

危機感を背景に
学年団で統一した指導が生徒の意識を変えた

● 実践のポイント
服装指導や遅刻指導を徹底し、生活態度の改善を促す
全学年で365日、毎日の学習時間の調査を実施
中学校や塾を訪れ、出身者の今と卒業後の進路を伝える

地域からの批判をバネに定員割れから学校を再生

 茨城県立古河第三高校の2007年度大学入試の合格実績は、同校の復活を学内外に印象付けた。前年度までの4年間、20人強で推移していた国公立大合格者が53人に。50人を超えたのは実に20年振りだった。当時の3学年担任・高橋良武先生は、「学年団の教師全員が危機感を持ち、改革を進めた結果」と振り返る。
 同校は「古河に普通科の進学校を」という地域の要望を受けて39年前に開校した。以来、国公立大合格者数2桁を維持してきたが、90年代に入って減り始め、01年度には10人を切った。
 同校への志願者数も減り続けた。学区内の中学校や塾を訪れても、評判はさんざんなものだった。ある塾関係者は「古河三高なら滑り止めでしょう」と言い、ある中学教師は「古河三高では生徒が伸びない」と話した。中でも、教師を愕然とさせたのは、「古河三高に入ったら、良い生徒もだめにされる」という指摘だった。
 課題は進学実績だけではなかった。服装の乱れ、遅刻の常態化など、生活態度全般の評判も良くなかった。「あのような生活態度では、進学実績が低迷して当然」というのが、大半の中学教師や塾関係者の見方だった。進路指導部長の鴨志田惠司(さとし)先生は、次のように振り返る。
 「『自由な校風』は本校創立以来の伝統。しかし、自由を履き違えて規律を無視して行動する生徒が増えていました。自立した生徒なら問題ありませんが、そうでない生徒はまわりに流されてしまい、実力以下の結果しか得られないというのが、当時の本校の偽らざる姿でした」
 自由の中にも自立した生徒が大半だった時代を見てきた教師にとって、生徒の変化への対応は難しかった。「自由な校風」を守りたい教師と、危機感を抱く教師が衝突することもあった。


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