指導変革の軌跡 茨城県立古河第三高校
杉田和幸

▲茨城県立古河第三高校校長

杉田和幸

Sugita Kazuyuki
教職歴37年。同校に赴任して1年目。「生徒が生き生きと学校生活に取り組めるような学校づくりを目指している」「『継続』が大きな力を生むことを生徒に伝えたい」

染谷英佐

▲茨城県立古河第三高校

染谷英佐

Someya Hidesa
教職歴32年。同校に赴任して7年目。2学年副担任。「生徒に対しては常に誠実であるよう心がけていきたい」

田嶋一彦

▲茨城県立古河第三高校

田嶋一彦

Tajima Kazuhiko
教職歴28年。同校に赴任して13年目。生徒指導部長。「『凡事徹底』の大切さを生徒たちに伝えていきたい」

鴨志田惠司

▲茨城県立古河第三高校

鴨志田惠司

Kamoshida Satoshi
教職歴29年。同校に赴任して4年目。進路指導部長。「モットーは『自分らしく』」

野村和男

▲茨城県立古河第三高校

野村和男

Nomura Kazuo
教職歴25年。同校に赴任して8年目。進路指導部副部長。「我が子のような気持ちで生徒たちと接していきたい」

高橋良武

▲茨城県立古河第三高校

高橋良武

Takahashi Yoshitake
教職歴14年。同校に赴任して6年目。2学年担任。「当たり前のことを当たり前にできる生徒を育てたい」

藤田一輝

▲茨城県立古河第三高校

藤田一輝

Fujita Kazuki
教職歴12年。同校に赴任して4年目。2学年担任。「生徒は、こちらが手をかけた分、情熱を持って接した分、成長してくれる」

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
  PAGE 7/15 前ページ  次ページ

生徒指導で生活態度を改善し内発的な意識改革を促す

 同校がまず取り組んだのは、生徒指導の立て直しだ。登校時に教師が交代で校門に立ち、服装指導を徹底させ、週1回は「遅刻ゼロデー」を実施した。更に、何のために学校に来るのか、大学進学という目標に向けて何をすべきかを、あるときは集会や校内放送で、あるときはプリントにして配付し、繰り返し訴えた。
 こうした指導により、「遅刻して何が悪いのか」と言う生徒がいた状況から、「遅刻は絶対にやめよう」という雰囲気に変わっていった。それでもたびたび遅刻する生徒には、掃除の機会などを利用して、家庭環境や生活習慣などについて聞き、生徒把握に努めた。
 生徒指導部長の田嶋一彦先生は、「力で生徒を押さえ付けることは簡単です。しかし、高校生活で本当に大切なことは何かを、考えられる生徒になってほしかったのです」と話す。
 こうした根気強い指導により、生活態度の乱れは次第に落ち着き、1日平均50人だった遅刻者は、今では3人にまで減った(図1)。こうした生活態度の改善は、生徒自身の意識に負うところが大きかったと、田嶋先生は話す。
 「当時は、まわりの生徒が遊ぶ中で、1人で勉強する、制服をきちんと着るのは格好悪いと思う生徒が多かったようです。内心ではきちんと生活を送りたいと思っていたからこそ、目標のためには生活態度を改めよう、遅刻する生徒や服装の乱れた生徒の方が特異だ、という教師の言葉がすっと浸透したのだと思います」
 最終的には、志望を達成したいという生徒の思いが、生活態度の改善につながったのだ。

図1

教師の意思統一を図り課外補習と部活動を両立させる

 生徒指導の徹底により落ち着きを取り戻した同校は、05年度に本格的な改革に乗り出した。他生徒をリードするような存在をつくるべく、特進クラスを設置。授業時間を55分に変更、週3日(月・木・土)の課外補習の導入など、今も受け継がれる指導の基盤は、この年に入学した生徒への指導で形づくられた。
 05年度の1学年は、例年に比べて成績や意欲が特に高い生徒が集まったわけではない。それまでと違っていたのは、「学校を変えるのは今しかない」という教師の決意だった。
 「本校には、中学時代にトップになれなかった生徒が多く入学してきます。そうした生徒が、悔しさをバネにもっと勉強ができるようになりたいと思っていることに、生徒との会話で気づかされました」(高橋先生)
 どのような生徒でも自分の志望を実現したいと思っているという事実が、教師同士での切磋琢磨を生み出した。この学年の特進クラス担任・藤田一輝先生は、「ほかのクラスには負けたくない、絶対に結果を出したいという思いで、教師同士が互いに刺激し合いました」と話す。
 生徒の意識の高さ、教師の団結の表れの一つが、課外補習と部活動の両立だろう。課外補習の時間にはすべての部が練習を控えるように徹底をした。すると、1、2年生100%、3年生70%と出席率が高まった。
 「中途半端な気持ちで部活動に参加してほしくありません。逆に部活動にばかり力を入れさせても、受験準備のために早期に退部してしまう生徒が増えてしまいます。めりはりのある生活が勉強も部活動も充実させると、顧問も考えるようになりました」と、田嶋先生は話す。


  PAGE 7/15 前ページ 次ページ