同校がまず取り組んだのは、生徒指導の立て直しだ。登校時に教師が交代で校門に立ち、服装指導を徹底させ、週1回は「遅刻ゼロデー」を実施した。更に、何のために学校に来るのか、大学進学という目標に向けて何をすべきかを、あるときは集会や校内放送で、あるときはプリントにして配付し、繰り返し訴えた。
こうした指導により、「遅刻して何が悪いのか」と言う生徒がいた状況から、「遅刻は絶対にやめよう」という雰囲気に変わっていった。それでもたびたび遅刻する生徒には、掃除の機会などを利用して、家庭環境や生活習慣などについて聞き、生徒把握に努めた。
生徒指導部長の田嶋一彦先生は、「力で生徒を押さえ付けることは簡単です。しかし、高校生活で本当に大切なことは何かを、考えられる生徒になってほしかったのです」と話す。
こうした根気強い指導により、生活態度の乱れは次第に落ち着き、1日平均50人だった遅刻者は、今では3人にまで減った(図1)。こうした生活態度の改善は、生徒自身の意識に負うところが大きかったと、田嶋先生は話す。
「当時は、まわりの生徒が遊ぶ中で、1人で勉強する、制服をきちんと着るのは格好悪いと思う生徒が多かったようです。内心ではきちんと生活を送りたいと思っていたからこそ、目標のためには生活態度を改めよう、遅刻する生徒や服装の乱れた生徒の方が特異だ、という教師の言葉がすっと浸透したのだと思います」
最終的には、志望を達成したいという生徒の思いが、生活態度の改善につながったのだ。
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