指導変革の軌跡 茨城県立古河第三高校
VIEW21[高校版] 新しい学校再生のパートナー
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中学校への広報活動で卒業生の姿を伝える

 変わりつつある学校を知ってもらうため、広報活動にも力を入れた。前教務部長の染谷英佐先生は、「03年度から塾訪問を始めました。当時、国公立大合格者は20人強いましたが、塾の先生と話してそれが知られていないのだと初めてわかりました。学校案内やホームページで情報を公開するだけでは不十分だと痛感しました」
 鴨志田先生は、同校の立地条件から広報活動の重要性を強調する。
 「本校は東京まで電車で1時間圏内。交通の便がよいため、他県の学校に進学する可能性も高い。志願者数の安定には広報活動が重要です」
 入学者の多い中学校10校には、校長、教頭ら管理職、1学年の担任も含めた2、3人を1チームとして年2回訪問する。自校のPRや中学校の情報収集も行うが、話の中心はその中学校の卒業生の現状を伝えることだ。4月は当該中学校出身者の高校卒業後の進路を報告し、6月はその年の入学者の高校生活での姿を伝える。
 「中学時代は成績が良くなかった生徒が難関大に合格した、目立たなかった生徒が、本校に入学後、積極的に学習や部活動に取り組んでいる。卒業生の今を伝えることで、中学校の先生は喜んでくれます。高校側が足を運んで情報を伝えることで、中学校との信頼関係が深まっていると強く感じます」と、染谷先生は話す。
 一連の改革により、学校の雰囲気は大きく変わった。進路指導部実施の生徒へのアンケートでは、7割が「学校生活に満足している」と答えた。何より大きく変わったのは、教師の意識だ。杉田和幸校長は「手をかければかけた分だけ生徒は伸びると、教師が実感できたことが大きいのではないでしょうか。進路指導と生徒指導、学習指導がうまく噛み合って、学校に活力を与えていることを感じます。進路指導と生徒指導は学校を支える重要な柱です。両指導に力を注ぎ、日本一面倒見のよい学校を目指したいと思います」と話す。
 校舎の入り口には「めざせ! 第一志望・現役合格」という横断幕が掲げられ、生徒と教師を鼓舞している。生徒のやる気と期待に応えようとする教師。噛み合い始めた歯車が同校を前進させる。

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