未来をつくる大学の研究室 演劇学

青柳有利子

青柳有利子さん

あおやぎ・ゆりこ
早稲田大大学院文学研究科、日本語日本文学コース、博士課程1年(埼玉県立所沢高校出身)

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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大学院生が語る

古い史料から新しい発見がある喜び

研究のテーマ
江戸時代の能の上演記録を調べる

 私の研究テーマは「江戸時代の能」についてです。能が確立されたのは室町時代ですが、そこから現代まで一足飛びに来たわけではなく、歴史の流れの中でさまざまな変化がありました。ところが、能の歴史研究では、室町時代の研究は充実しているのに、江戸時代については手薄なのです。まだわかっていない事柄も多く、やりがいがあると感じました。
 今年の春に提出した修士論文は、江戸時代の中でも、盛岡藩(今の岩手県と青森県東部)の江戸藩邸で上演された能にテーマを絞って書きました。盛岡市の中央公民館に、盛岡藩の藩主であった南部家に関する史料が一括して保存されています。私は中央公民館を訪ね、能関連の史料を探し出し、江戸時代前期から幕末までの上演の記録を研究したのです。
 盛岡藩の能の歴史について調べたことがある人は、50年前に1人いただけですから、私が2人目です。しかもその方は「盛岡城で上演された能」が研究の中心でしたから、「盛岡藩の江戸藩邸で上演された能」を研究したのは、私が初めてということになります。
 私は盛岡藩の能を研究しましたが、研究者の中には、私と同じようにほかの藩の能を研究している人がいます。こうして、いろいろな研究者によって各藩の能が研究され、データが集まることで、江戸時代に行われていた能の全貌が見えてくるというわけです。
図

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