VIEW'S REPORT 生徒指導
土岐惣亮

西武学園文理中学・高校教頭

土岐惣亮

Toki Sosuke

工藤誠一

聖光学院中学校・高校校長

工藤誠一

Kudo Seiichi

清水哲雄

鴎友学園女子中学高校校長

清水哲雄

Shimizu Tetsuo

※鴎友学園の『鴎』の字は正式には旧字体ですが、WEB上で表記が出来ない為に新字体とさせていただいてます。

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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【座談会】 西武学園文理中学・高校× 聖光学院中学校・高校× 鴎友学園女子中学高校

社会を知り、学びとつながる
体験型学習とは何か

「待つ」ことができない教師、大人が増えている

――まず、生徒にとって体験型学習はなぜ重要なのかをおうかがいしたいと思います。
土岐
(西武)
 最近の子どもたちの特徴の一つとして、「正解主義」が挙げられます。入試を経て進学してくる生徒たちは、長い間、正解を選ぶことを求められる勉強を続けてきており、実際、試験で正解が多い生徒が、入試でも合格するわけです。
 この「与えられた問題に、常に正解を出さなくてはならない」という生徒たちの意識は、入試の場面だけではなくて、中学校入学後も続きます。そのため自信があるときは手を挙げて答えることができるけれど、不正解の可能性があるものについては、失敗を恐れ、決して自ら前に出て積極的に発言しようとはしません。
 なかなか答えが見つからず、試行錯誤の先に新しい発見に出合うという経験が、本当の意味で学びの血となり肉となります。その経験を子どもたちに積ませる上で、解答が一つでない命題に対して、主体的に考え、解決策を見いだす体験型学習が有効だと考えています。
工藤
(聖光)
 すぐに正解を求め、教えたことしかやろうとしない子どもが増えているというのは、私も実感していることです。
 ただしこの問題は、子どもに責任があるわけではありません。彼らを受け入れる教師の姿勢が、子どもたちに影響を強く与えていると私は考えています。子どもたちが試行錯誤しながら答えを見つけだすまでの時間を、「待つ」ことができない教師、大人が多くなっているのです。
 中等教育というのは、その一つ上に高等教育があるわけで、中等教育に携わっている教師は常に進学実績という成果を求められます。手っ取り早く成果を上げようとするならば、教えた方が楽だという意識になって、何でも教え込んでしまう。一方生徒も、「教えられたことだけをやる」という意識から抜けられません。教師は中等教育段階で生徒にじっくり考えさせる工夫ができないまま、悪循環に陥っている気がします。
図2

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