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企業の人材や技術に触れることで「学びの意欲」が高まる
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――CEPでの研究を通して、見えてきたものは? |
CEP
事務局 |
2007年よりCEPと題して企業との連携による体験型学習プログラムの研究を開始しました。これまでに10社・10校にご協力いただき、計21回のプログラムを実施してきました。参加者は722人に上ります。その結果、体験型学習で生徒の学びの意欲を高めるためには、「本物の体験」「チーム学習」「発表・評価」の三つの要素が重要だということがわかってきました。
まず、「本物の体験」とは、文字通り生徒が本物に触れることです。一般の工場見学や職場訪問では、企業の広報担当者がガイド役となり、企業の取り組みや仕事を紹介する場合があります。しかし、CEPでは、例えば商品開発ならば「商品開発の現場担当者」が自ら講師となり、実際の仕事内容や技術、更に仕事へのこだわりを語ります。講師は、生徒に比較的年齢が近く、ロールモデルになりやすい30歳前後を中心にしました。またプログラムの内容は、企業や職業の概略を学ぶ「お試し体験コース」ではありません。生徒には、「プロはここまでやるんだ」という実感が得られるように、企業が得意な技術分野などをテーマにした少し難度の高い課題を与えます(次ページ図3)。
例えば、マイクロソフトのプログラムでは、1日がかりで四足歩行ロボットを製作し、ロボットが歩くための足の動かし方を考えました。また全日空のプログラムでは、整備士の新人研修の課題に挑戦しました。その結果、参加した生徒の多くは「大変だったけど、達成感がある」「こんなに一つのことを深く考えた経験はなかった」などの感想を残しました。このような「限界突破体験」が、学びの意欲を高めると考えています。
「チーム学習」では、生徒が仲間と一緒に試行錯誤できるように、「複合的な課題」を与えました。例えば、マイクロソフトのプログラムでは、「ロボットの組み立て(ハードウェア)」「動作のプログラミング(ソフトウェア)」「操作パネルのインターフェース(デザイン)」など、複数の専門的な技術が問われます。
最後には「発表・評価」がありますので、自分たちが苦労して作ったロボットの魅力を伝えるプレゼンテーション力も問われます。これらの課題を、1人の生徒がやりきることは困難です。そこで生徒たちは、それぞれの得意分野を相談し、協力して課題に取り組みます。このようにチームワークを発揮せざるをえない環境をつくることで、生徒は互いに学びの意欲を高め合うことができるのだと考えています。 |
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マイクロソフト本社で発表会を開催。中3、高1の生徒が、ロボットレースやプレゼンテーションを実施 |
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全日空では、ブロックを使って整備士の新人研修で行われるゲームを体験。他班作成の設計図に従い正確に模型を再現 |
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