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教師も生徒も「真剣勝負」
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東京・東陽町のキャンパスに足を踏み入れると、その広さと清潔さ、そして設備の充実ぶりにまず目を見張らされる。約950平米の広々としたフロアに、生徒は1学年12名、2学年合わせて24名という少人数制。教室には、生徒一人ひとりのための作業台や機材が備え付けられている。
生徒たちはここで、WOSTEPが定めた3000時間のカリキュラムを2年間で修了する。驚かされるのは、入学してからの8か月間は「時計」に触れることができない、ということだ。
最初に課題として与えられるのは、時計ではなく「工具」の製作。初めは柔らかい木を使い、それに慣れたら金属へ。1本の金属棒などの素材を加工して、自分たちが使う工具を一からつくり上げていく。
完全な「平面」とはどういうものなのか。45度という角度は、1ミリという長さはどのくらいのものなのか。技術者に必須のそうした指先や目の感覚を、生徒たちはひたすらに作業を重ねながら身体に覚え込ませてゆかねばならない。工具づくりは、それに最適なトレーニングなのだ。
工具の次は時計の部品製作に取り組み、2年間を終えるころには時計修理に関する全工程をこなせるようになる。しかし、そこまでに到る道のりは楽なものではない。2年間で5回の中間試験があり、各1回認められている追試験に合格できなければ退学が勧告される。甘えや油断は一切許されないだけに、課題に取り組む生徒たちの目はこの上なく真剣だ。
また、試験の評価方法も独特である。生徒の試験課題作品は、東京ウォッチテクニカムの教師たちがまず評価した後、スイス本校へ送られてそこで再評価される。教師が「正しい評価を行えているか」のチェックも兼ねているわけだ。
ここでは、生徒のみならず教師たちも、そのようにして常に評価にさらされ続ける。スイス本校でのトレーニングも毎年受講しなくてはならない。羽立さんは「教師以外のスタッフもそうです。常にブラッシュアップしていかないと、とても理想とするレベルには到達できません」と語る。生徒にもスタッフにも、身の引き締まるような真剣さが要求される環境なのである。 |
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