教える現場 育てる言葉
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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理論と技術を兼ね備えてこそ

 カリキュラムの中で特徴的なのは、時計修理の「技術」と共に、「理論」学習が二本柱の一つとして挙げられていることだろう。その理由を羽立さんはこう説明する。
 「もちろん、理論だけを身に付けた頭でっかちでは意味がありません。でも、時計というのは、持ち主や環境によって状態が違ってきますから、予想外の、とんでもない状態になった時計を修理しなくてはならないときもある。そんな時に状況を的確に見抜く力、そして対処法を考えるための知識。そういったことを身に付けるために、理論のプログラムがあるんです。その意味では、技術も理論も目指すところは同じなんですね」
 また、塵一つ落ちていない教室が物語るように、掃除や整理整頓についての指導が非常に厳しいことも、この学校の特徴の一つだ。朝はまず雑巾がけから、工具を収める引き出しは常に整然と美しく……。それだけを聞くと、昔ながらの「職人」世界の伝統、といったものをイメージしそうになるが、必ずしもそうではないのだという。
 例えば、掃除を徹底するのには、繊細な時計の部品を埃や水気から守るという意味がある。引き出しの中を整理しておけば、必要な工具がすぐに取れて作業がスムーズだ。「昔の人の知恵が非常に素晴らしいから、それをそのまま受け継いでいる」のであって、伝統を無条件に追いかけているわけではない。
 しっかりとした理論と、それに裏打ちされた確かな技術の両方を身に付けてこそ、技術者は初めて技術者たり得る。その信念が、ここにはあるのだ。
写真
東京ウォッチテクニカム校内の授業風景

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