田辺智洋先生が着任したのは5年前、1期生が中学2年生に進級した年だ。常勤講師も含めて30人弱の教師しかおらず、中学籍の教師が高校生を、高校籍の教師が中学生を教える。高校の数学教師である田辺先生にとって、中学生を教えるのは初めての経験だった。
「中学校の指導書を読み、中学校の先生に相談しながらという手探りの状態でしたが、中学校での教え方が、高校での授業にも役立ちました。例えば、二次方程式や因数分解などの基本が、高校生のつまずきの元になることが多いですが、これらをわかりやすく伝えることに関して、中学校の指導法は優れていると思います」
毎日の宿題や週末課題など、家庭学習習慣を定着させるための指導は、中1段階から徹底して行う。中学校では「生活記録表」、高校では「学習記録表」に学習の記録を付けさせ、担任がチェックする(図2)。学習時間が少ない生徒に対しては、個別に声をかけ、コミュニケーションを取りながら指導している。
更に、毎日の朝学習も6年間続く。毎週火曜日には全校一斉漢字テストを、それ以外の曜日は学年ごとに小テストを行う。全校一斉漢字テストは、全クラスの結果を集計し公表している。中学生が高校生よりも高得点を上げることもあり、生徒にとっては良い刺激となっているようだ。
また、中学校では英語と数学で少人数授業を、高校では両教科に加えて古典でも習熟度別少人数授業を展開するなど、生徒の学力に応じた指導を手厚く行う。
こうしたきめ細かな指導を支えているのが、2人担任制だ。岡村澄江教頭は「本校は生徒の学力層が広いため、担任を2人付けて、一人ひとりの生徒を見るようにしています」と話す。
|