広島県立油木高校がある神石高原(じんせきこうげん)町は、中山間地に位置し、人口約1万2000人。65歳以上の割合が4割を超える。主要産業の農林業は低迷し、耕作放棄地(注)の割合は全国でも高く、地域の経済状況は厳しくなる一方だ。
地域で唯一の高校となる同校の生徒は、町立中学校4校の出身者が約9割を占める。少子化の影響を受け、生徒数は減少傾向だ。そこで1993年、地域の有力者らが発起人となって「油木高校を育てる会」を発足。04年度に神石高原町による支援プロジェクトが始まった。同町が年間1000万円(現在は年間500万円)を予算化し、大学入試対応の通信衛星授業の導入をはじめ、産業ビジネス科の再生などを財政面で支援する。
定員割れが続くものの、同校は年々大学合格者数を増やし、08年春の卒業生数52人のうち10人が国公立大に進学(図1)。うち3人は農業を学ぶ産業ビジネス科の生徒だ。国公立大進学率19.2%という、県内の進学指導重点校に匹敵する実績を出した。 |