06年春、国公立大に4名の生徒が合格した。久し振りの朗報によって大学進学の気運が高まったこの年、県内の進学指導拠点校から藤田知久先生が、同じく進学指導重点校から内田昭洋先生が着任した。着任早々、藤田先生が驚いたのは「子どもに勉強をさせると町を出て行ってしまうから、勉強はしなくてよい」という保護者の言葉だ。
「学びを放棄した地域に、未来はありません。勉強をしっかりして、力を付けて地元に戻ってくる人材を育てることこそ必要です。すぐでなくても、10年後、20年後、あるいは30年後でもかまわない。地域のためにも、本校は文化の発信拠点となるべきだと考えました」
保護者には大学進学が地域のためであることを繰り返し訴える一方、生徒への進路指導では、外の世界を見せて刺激を与え、高い目標を持たせるようにした。生徒にオープンキャンパスへの参加を促すだけでなく、センター試験会場となる大学で補習を開催し、大学の雰囲気を肌で感じさせた。
更に、大学進学希望者を集めて「4大受験サークル」を結成。学年ごとに学期に2回実施。内容は各学年主任と各学年の進路担当に任されているが、3年生の入試結果のデータなどを効果的に活用し、大学受験に対する意識を向上させることがねらいだ。
また、学習指導も強化した。教科ごとに予習・復習の仕方、学習計画モデルの提示など、受験勉強の進め方を指導する(図2)。
「定員割れをしている本校では、大学受験で初めて本格的な受験勉強をする生徒が大半です。中学校の基礎・基本、小学校まで振り返らなければならない場合もあります。そうした生徒に、大学合格のためにはいつ、何をどのくらい勉強すべきかを、具体的に提示する必要があったのです」(藤田先生)
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