特集 つなぐ教師の教科指導力
坪内有美子

岐阜県立関高校

坪内有美子

Tsubouchi Yumiko
教職歴3年。同校に赴任して3年目。国語担当。08年度の岐阜大入試研究会で国語を担当。

今枝 誠

岐阜県立可児高校

今枝 誠

Imaeda Makoto
教職歴3年。同校に赴任して3年目。英語担当。08年度の名古屋大入試研究会で英語を担当。

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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指導力向上のため 若手に入試分析を任せる

 両研究会は、教師はだれでも見学できる。講師を担当する教師にとっては指導力を上げる機会であり、ほかの教師にとっては他校・他教師の指導を間近で見られる機会となる。
 名大・岐大研究会の講師は、当初はベテラン教師だったが、取り組みが定着した今は意識的に若手に担当させる。08年度、岐阜大国語担当の坪内有美子先生(関高校)と名古屋大英語担当の今枝誠先生(可児高校)は、共に教師歴3年、今年初めて3年生を受け持ったという若手教師だ。
 「岐阜大対策指導の経験がないので、講師を打診されて初めは戸惑いました。しかし、先輩に『過去問を解けば、教師として生徒よりもわかることがある。それを伝えてください』と言われ、私自身の勉強になると思い、引き受けました」(坪内先生)
 坪内先生は、開催日の約1か月前に講師を任ぜられた。岐阜大の過去問を5年分解き、複数の過去問題集の模範解答を比較。他大学の入試問題も解き、岐阜大との違いを調べた。前年の講師だった教師に話を聞き、同じ3年生を担当する国語教師に相談して、授業の内容を固めていった。
 今枝先生は、先輩教師の助言を受けて過去問を10年分解き、出題傾向把握。更に、関高校と可児高校の3年生に名古屋大入試の英作文問題を解かせ、誤答分析をしてはどうかという助言も受けた。それに従って分析すると、両校の生徒共に同じ箇所でつまずきやすいと判明し、講義では類似問題を解かせ、間違えやすい箇所を生徒自らが気づく展開にした。
 普段の授業と並行しての準備は大変だったが、入試分析によりゴールが見え、指導に自信が持てるようになったと、2人は口をそろえる。
 「入試問題を踏まえて授業を組み立てたことによって、ほかの先生の授業を見る視点が変わりました。また生徒に『先生が一生懸命、入試問題を分析しているから安心』と言われ、自信になりました」(坪内先生)
 「ほかの人がまとめた出題傾向を見るのではなく、過去問を実際に10年分解くことが重要だとわかりました。普段の授業でも『ここは出題されやすい』と、具体的に自信を持って言えるようになり、生徒の反応も変わりました」(今枝先生)

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