指導変革の軌跡 北海道札幌旭丘高校
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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担任を2人にし、生徒個々に合わせてきめ細かく指導

 単位制移行に伴い、同校は指導法も大きく変えた。「複数担任制」の導入だ。1クラス40人を男女混合で五十音順にA・B各20人に分け、いずれかを1人が担当する。面談を担当する生徒数も事務も等分だ。朝夕のHRは40人一緒に行うが、1週間交代で行ったり、毎回2人で行ったりと、担任同士で相談をして決める。2年次担任の横山朋美先生は、次のように話す。
 「面談に際しては、生徒自身が自らの志望に合わせて選択した科目を担任がチェックし、本人の能力や適性に応じたアドバイスや話し合いを何度も重ねながら最終的に決定します。そうした過程を考えると、生徒20人は1人の担任が受け持つぎりぎりの数でした」
 加配があるとはいえ、1クラスに2人の担任を置けば、各分掌の部長・副部長以外の教師は全員、担任となる。しかし、職員会議で難色を示す教師は1人もいなかった。その理由として、担任にとっての精神面における負担軽減が大きい。もう1人の担任は、副担任と違いクラスの状況をしっかり把握している。急な出張があっても安心して任せられる。生徒指導や保護者への対応で行き詰まったとき、相談相手がいると精神的に楽になる。
 担任を組む2人は1年間を通してのパートナーとなるため、年次主任は慎重にペアを設定する。個々の教師と事前に面談を重ねる主任もいる。その成果もあり、今のところ複数担任制に対する不満の声はない。「自分の思うようにクラス運営をできないジレンマはあります。しかし、私が相談をすると『やってごらん』と先輩であるペアの担任に背中を押されたり、相談し合ってより良い方向へ進んだりと、むしろメリットの方が大きいです」と横山先生は話す。
 生徒にとっても、担任が2人いるのは心強い。ガイダンス担当の担任のアドバイスに疑問を感じたときなど、もう1人の担任に相談できる。医療でいう「セカンドオピニオン」のように、2人目の担任に頼ることができるのである。

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