指導変革の軌跡 北海道札幌旭丘高校
VIEW21[高校版] 新しい学校再生のパートナー
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探究活動の単位でクラスをつくり生徒同士を切磋琢磨させる

 自主・自立を促すには選択する力を高めるだけでは不十分と考え、同校は課題発見・解決力の育成にも力を入れる。「総合的な学習の時間」を「Sunrise Time」と名付け、3年間を通して系統的な課題研究を展開。1年次は主体的に調べる力、プレゼンテーション、ディスカッションの方法などについて学び、2年次はゼミ活動や課題研究を通して主体的に調べる力を高め、3年次の研究発表に結実させる。
 特徴的なのは、2年次からのゼミによるクラス分けだ。生徒は、興味・関心に応じて「人権」「環境」「メディカル」「コミュニティ」「経済」「フード」「平和」「いのち」のいずれかのゼミに所属する。ゼミ定員は20人で、二つのゼミを合わせて1組とし、40人のクラスをつくる。「単位制の欠点は、集団としてのまとまりが欠けてしまうことです。生徒の興味・関心に応じてクラスをつくることによって、生徒同士が刺激し合うと共に、連帯感を醸成できる場になると考えました」と成田先生は話す。
 1年次の10月から課題研究の準備を行って自分の興味・関心を絞り、12月に所属するゼミを想定してエントリーシート(図2)を提出する。エントリーシートにはゼミの課題研究テーマや課題設定の理由、研究計画、「LIFE」との関係を書く。担任団はそれを見て、生徒の興味・関心の方向を見極め、20人をどのような学びの集団にしていくのかを考えながら、各ゼミに振り分ける。例えば、医療系のテーマが多い場合、臓器移植を選んだ生徒は人権ゼミへ、地域医療ならコミュニティ・ゼミへといった具合に、生徒の希望を生かしながら近接領域のゼミに所属させる。
 2年次主任の横関直幸先生は、「自分の興味・関心と違うテーマに触れたり、近いテーマを追究している友人と切磋琢磨したりすることも、生徒の視野を広げる上で重要です。ただ、生徒自身がゼミを選べないことを疑問視する声があることも確か。ゼミの構成や配属方法については、今後の課題です」と話す。
図2
2年次で所属するゼミを選択するため、1年次の10月からゼミエントリー研究を行い、その成果を踏まえてエントリーシートを書く。その内容を基に担任団が2年次からのゼミに振り分ける

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