指導変革の軌跡 鹿児島県立喜界高校
VIEW21[高校版] 新しい進路意識向上のパートナー
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肥大化した取り組みを検証し実情に合わせて精選

 07年度末、中高連携の取り組みに大幅な見直しをかけ、スリム化を図った(図2)。増えすぎた活動を教員の定数や予算規模に即したものにし、教師の負担の軽減と、効果的な取り組みへの重点化をねらった。「スリム化といっても、規模縮小ではありません。7年間の蓄積を生かし、最小限で最大限の効果を上げられるような活動に再構築しました」と、肥後先生は話す。
図2
 まず、中高教師・生徒・保護者全員に中高合同行事等に関するアンケートを実施。結果を基に、中高の実務担当者会が取り組みを精選して素案を作成し、4校校長会で慎重に審議した。その結果、10ほどの取り組みを統廃合した。
 「一度始めた取り組みはやめにくいものですが、調査で得られた客観的なデータによって改善への説得力が増しました。今後も定期的に取り組みを見直していくことが、教育活動を形骸化させないために必要だと思います」(肥後先生)
 継続する行事も改善を図った。国・数・英での乗り入れ授業は、生徒の学力について中高の教師が課題を洗い出し、それに即した内容に変えた。また、毎日どこかの中学校で行っていた乗り入れ授業を、年度当初に中高間で時間割を擦り合わせて週2日にまとめた。例えば、国語はティーム・ティーチングから作文指導(年間5回)にした。高校での志望書の作成などの際に、生徒の文章力が大きな課題となっていたからだ。高校の国語科主任が三つの中学校の3年生(全4クラス、計20回)に作文の書き方を指導する。
 07年度入試からは、5教科の口頭試問に代わり、「適性の診断」を取り入れた。小中9年間の学習内容から国・数・英・社・理各25分の基礎・基本を確認する問題を高校の各教科担当が作成し、実施する。入試では学力試験がないため、入学前に生徒個々の相対的な学力データを取り、入学後の指導にすぐ生かせるようにするためだ。分析結果は合同職員会議で中学校にも提供し、指導に役立ててもらっている。
 中学校間の連携としては、3校共通テストが実施された。中学校が連携して作問し、連絡調整をしてテストを行うというもの。07年度から英語、08年度には数学と社会が加わった。
 「中学校側は、高校に結果分析に協力してほしいと申し入れています。中高の教師間で教科指導上の連携が活性化するきっかけになると期待しています」(山下教頭)

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